渡辺邦彦「阿寒に果つ」五十嵐じゅん三浦友和渡辺淳一地井武男大出俊二宮さよ子

これはアカン子や(笑)。75年、東京映画、配給東宝。渋谷にて「妄執・異形の人々 文芸篇」特集。
e0178641_3345653.jpg 映画として、まったくつまらない。これはアカンて(笑)。
 かわいい若手人気女優を出して、ヌードにもします、男とも女ともベッドシーンありでっせ、しかも北海道の美しい冬景色をたっぷり、と見せます。
 なに、こんな文芸エロ映画、これじゃあ男しか来ない?
 じゃあ全盛期の美青年・三浦友和も、つけちゃうぞ、と、どうや、お客さん、満足でっしゃろ、「万端の企画」のはずが、いかんせん映画が、面白くない(笑)。
 アカンて、これは(笑)。

阿寒に果つ(35mm)公開:1975年 (渋谷シネマヴェーラHPより)
監督:渡辺邦彦/原作:渡辺淳一
出演:五十嵐じゅん、三浦友和、地井武男、大出俊、二宮さよ子、
15歳にして北海道展に入選した女子高生の純子は、五人の恋人たちに一輪ずつカーネーションを残して失跡し…。少女マンガでもあり得ないような設定だが本当の話。天才美少女画家にして奔放な小悪魔・純子に誘惑され、酒とタバコと接吻の味を覚えた真面目な同級生・俊一とは、誰あろう原作者である渡辺淳一先生!

e0178641_3353997.jpg 第一の、決定的な敗因。
 五十嵐じゅん、それなりに、演技は、うまい。記憶の中では、浅田美代子と一緒になって、かわいいが、演技はうーんなアイドル女優という印象だったが、なかなかにうまい。
 ただし主演女優のオーラが、ない。何を演じても、それがどうした、という感慨しかわかない。典型的なかわいいだけじゃダメなのよ女優か。

 第二の、決定的な敗因。
 五十嵐じゅん、表情が二つか、三つくらいしかない。それも、おざなりの。
 そこそこに演技はうまいが、幅がない。有り余る才能がありながら、自殺してしまう、早熟な思春期自意識過剰な天才少女を演じるには、あまりに分厚すぎる顔が、あまりに無表情過ぎて、その顔からニュアンスが、一切見いだせない。
 五十嵐じゅんは、浅野温子でも、大竹しのぶでも、なかった。

 第三の、決定的な敗因。
 ヒロインが同級生の、三浦友和へのファーストキス。
 キスしたら、ウィスキーのポケット瓶を取り出してぐびり、友和にも勧める。次にタバコも吸い、友和に勧める。
 真面目な優等生・友和は、ウィスキーにもタバコにも、むせる。
 こういうのは、日本では、受けない。当時のうぶなハイティーン観客には、ドン引きだったかもしれない。
 ただし無表情な五十嵐じゅんではなくて、くりかえすが、浅野温子なり大竹しのぶだったら、いけてるシーンになったかもしれない。
 決定的に、この映画には、ユーモアに欠けている。
 所詮最後は自殺する自意識過剰少女なんだから、ユーモアなんかいらん、というのが、作者たちの思いなのかもしれないが、最後は悲劇に終わる映画にも、ユーモアとギャグをぶち込んだ小津や成瀬の偉大さが、こういうボンクラ映画を見ていると、つくづく思いだされる。
 小津や成瀬がこの映画をリメイクするなら(笑)、小津なら五十嵐じゅんは岸恵子か岡田茉莉子か、成瀬ならデコちゃんか。いずれにせよユーモアは必須だったろう。

e0178641_3362194.jpg 第四の、決定的な敗因。
 撮影監督の予備知識なく見ていたが、げげっ、これは、もしかして、木村大作か、と思い、確認したら、案の定木村大作だった(笑)。
 どんなに美しい雪景色も、観光絵葉書の写真にしか見えず、大体のショットが、映画のクオリティーではなく、TVのCM並みの、うすっぺらの映像しか撮れない、自称巨匠の撮影監督。
 五十嵐じゅんと、姉・二宮さよ子とのレズシーンも、いかにもありがちなアプローチで、木村大作、頭の中には、凡庸なショットしか、ないのね。
 いや、本作では、木村大作も、ショットによっては、なかなかいい絵作りをしているようには感じたが、やはり全体的には、ペラい。

 第五の、決定的な敗因。
 美少女だが、ふてぶてしいまでに表情が読めない、いわば(女優としては)鉄面皮の五十嵐じゅんが、繊細に揺れ動く、思春期早熟天才系ヤリマン少女という、きわめて、めったにいないキャラを不用意に演じる、演出側に、繊細さが、少しも感じられぬ。
 こんな激ヤバ物件を、無難なアイドル映画に落とし込むボンクラさは、いかんともしがたい。
 絵の師匠・福田善之みたいな、どう見てもくさやの干物みたいなおじさんとキスした、五十嵐じゅんの敢闘(笑)は、ありつつ、残念でした。

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by mukashinoeiga | 2016-12-02 03:37 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(2)

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Commented by お邪魔ビンラディン at 2016-12-03 01:11 x
この映画、20年ぐらい前に大井武蔵野館で見て失笑の連続だったので、今回は見送りました。レズシーンでアダモの「雪が降る」がバックに流れて来て失笑しないという法はない。マエストロ真鍋理一郎とも思えない安直な選曲で、このあたり、音楽監督の意向が通らなかったのだと見るべきでしょう。渡辺邦彦監督は渡辺邦男監督の御子息ということですが、やはり大監督の子息にして監督として大成できたのは野村芳太郎のみということになるんでしょうかね。
下の方の新聞記事に出て来る加清さんというのは、金子光晴門下の詩人の暮尾淳さんのことで、土曜美術社の日本現代詩文庫に代表作の選集が編まれています。この方は創価学会の戸田城聖さんの甥っ子さんですが、御本人は創価学会とは関係なく、長く人文科学系の中堅出版社の編集長を務めておられました。
しかし、ということは、このヒロインのモデルになった性格の悪い娘っ子は戸田城聖の姪っ子になるわけで、「前会長の問題ある縁者を描いた映画じゃないか」ということで、創価学会サイドからの妨害はなかったのかな?
Commented by mukashinoeiga at 2016-12-04 07:44
渡辺邦彦「阿寒に果つ」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
>アダモの「雪が降る」

 推測するに本作のイメージソングにピッタリ、と早々にプロデューサーが抑えちゃったので、どっかに使わなくては、と無理やりレズシーンにあてはめたものかと。

 弟さんも、この映画を見ていたとしたら、実の姉たちのレズシーンを、どんな思いで見たのか(笑)。

>創価学会サイドからの妨害

 現に創価学会との関係は隠しおおせているので、そうであれば、特に騒ぎ立てするメリットは、ないということでしょう。
 それより三浦友和が出ているということを考えると、この企画、当時のモモカズコンビで企画されたのでは?
 引用したイメージヴィジュアルが、明らかに赤ずきんちゃん風のオトメチック衣装(実際にも五十嵐じゅんの死出の旅の衣装)で、このヒロインの趣味とも思えず。

 おそらくモモカズコンビ映画の企画として、数限りなく出たたたき台の一つで、しかし現役女子高生アイドルの百恵に、飲酒喫煙シーンはご法度、さらにヤリマンと来ては絶対NG。
 ということで流れてきた企画かとも思いますが、まあ単なる妄想でしょうかねー。  昔の映画
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