加藤泰「日本侠花伝」真木洋子渡哲也曽我廼家明蝶任田順好加藤剛北大路欣也

e0178641_1555225.jpg 京橋にて。「生誕100年 映画監督 加藤泰」特集。73年、東宝。
 冒頭20~30分くらいは、任田順好大活躍で、真木洋子と、どっちがヒロインか、わからないくらい(笑)。
 特に、真木洋子と村井国夫が「神聖な夫婦の営み」(インテリ村井が、純朴な真木を、コマす口説き文句だろう)の最中、その前のふすま一枚隔てた別間で、くしゃみをこらえにこらえる任田順好なんて、やり過ぎで、いいなあ(笑)。
 ふつう、あんなに長く、こらえさせないよ。しかも、任田順好なら、豪快なはっくしょん!が期待されるのに、くしゅん程度で、しかも同時に「達した」真木洋子は、気づかない、なんて、一応、「本線」は、意識してるのね(笑)。
 上のスチールのように、常にヒロインの前に出てきている(笑)任田順好。
 任田順好が、ようやく消えて、やっと、フツーのドラマに、なる(笑)。

e0178641_1562128.jpg40 日本侠花伝(150分・35mm・カラー) (フィルムセンターHPより)
1973(東宝)(監・原・脚)加藤泰(撮)村井博(美)阿久根巌(音)鏑木創(出)真木洋子、渡哲也、曽我廼家明蝶、任田順好、加藤剛、北大路欣也、安部徹、村井国夫、武藤章生、森幹太、大塚道子、園佳也子、菅井きん、藤原釜足、見明凡太郎、汐路章
加藤が長年温めたオリジナル脚本を東宝で演出した大作。大正初期、ミネ(真木)は実(村井)と四国から駆け落ちするが、刺客・清次郎(渡)や長田組の親分・金造(曽我廼家)と出会う中で、大きく変貌を遂げていく…。女性の肉体を通してエロスと暴力を骨太に追求した後期加藤映画の集大成。*途中休憩あり

 とはいえ、いかに、優柔不断な村井国夫に捨てられたからといって、いきなり倍以上年上の曽我廼家明蝶と結婚するのも、無理筋だが、案の定、若い渡哲也と浮気に走る。
 いや、もう、これは浮気と呼べない。ガチの本気、というか、おそらく彼女としては、初めての主体的な愛なのかもしれない。
 加藤泰にしては、繊細な描写というべきか、まあすぐそのあとに、粗雑な拷問描写が入るわけだが。四国宇和島での村井国夫との語らいは、短いショットごとに景色を変えての、連続。
 ただ、それは、鈴木清順ほどの、ぞくぞくする感じが、まるでない。かつて、そういう描写をした二、三の監督のを、見たような古い記憶もあるが(ヨーロッパ映画だったか)それも清順には及ばなかった記憶がある。 
 なんだか清順にあった、いわゆるひとつのサムシングエルスに、欠けているようなのだ。
 ところで加藤泰は鈴木清順の映画なんか、見たことがあるのだろうか。本作の渡哲也には、鈴木清順「東京流れ者」の、香りも、することだし。

 そして加藤泰といえば、ご存知ローアングル、なのだが。
 確かに、画面に変化と締りをもたらすとは思うものの、見慣れてしまえば、特に違和感を感じない。
 職人名人の手練の手わざ、という感じか。これは何だ、という違和感を感じない以上、なんだか、義理マンなんてゲスな言葉が、浮かんでしまうのだが。ただ、とはいえ、繰り返しになるが、画面に変化と締りをもたらすとは思う。
 刺激抜きの、安定感ある画面として。

 毎度登場する、疾走する汽車の車底を、あおり仰ぎ見る撮影は、どうやったのだろうか。
 まさか実際の線路に穴を掘るのは、明らかに犯罪だろうから、鉄橋の谷間部分にへばりついて、あるいは足場を組んで、撮ったのだろうか。
 確かに好みのカットなのだろうし、実際に見ていて楽しいが、毎度毎度続くと、義理マン気味で(笑)。

 後期加藤泰映画は、やたらと長くなる傾向にあるが、二時間半かけても、三時間かけても、唐突な場面転換、唐突に現れるな新・登場人物ゆえに、長尺な原作・ドラマの、ダイジェスト版な感じが、濃厚にしてしまう。
 長編ゆえの悠々とした充実感というものが、感じられない。大河ドラマを撮っても、ちょろちょろ小川感が、垣間見えてしまう。
 80分の男・増村保造、三隅研次が、90分の男・鈴木清順が、小川映画を撮っていたのが、いつの間にか、一級河川になってしまうのと、対照的だ、とさえ、思う。

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by mukashinoeiga | 2016-09-09 01:57 | 加藤泰突撃せよ炎のごとく | Trackback | Comments(4)

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Commented by なご壱 at 2016-09-10 06:34 x
任田順好は、本当に存在感がありますよね。加藤泰の愛人だったみたいです。
Commented by mukashinoeiga at 2016-09-10 23:11
加藤泰「日本侠花伝」へのコメント、なご壱さん、ども。
 加藤泰、ブス好きは、間違いないでしょうねー。
 笑ったのは、某ブログに、任田順好は、監督とデキていたねと。で、やっぱり、常連の、汐路章も、監督と、デキていた、と(笑)。加藤泰と汐路章と任田順好の3P、さあ、想像してみよう(笑)。 昔の映画
Commented by お邪魔ビンラディン at 2016-09-12 01:36 x
そうした「相姦図」を作るなら、いっそのこと加藤組常連の明石潮や菅井きん、遠藤辰雄、谷村昌彦あたりも交えた大乱交パーティーを考えた方が、面白さも倍加すると思いますが、如何?
それはさて、そのむかしSM雑誌の元祖「奇譚クラブ」に、その月の映画の縛りや拷問のシーンにコメントを加える数頁のコーナーがあって、チャンバラ映画全盛時代には、この映画でひばりのお姫様が誘拐されて縛られているシーンは迫力不足だったとか、こちらの映画の北沢典子の方は真に迫っていた、のたぐいの評価が、その趣味の方面からの視点で微に入り細に入り記されていました。(ひばりや北沢典子というのは、チャンバラ映画全盛時の代表として名を挙げたので、じっさいの記事にこの二人が出ていたかどうかの検証はしておりません。)古本屋で、散発的に目についたものを何冊か買って読んだ印象では、このコーナーは石井輝男の徳川異常性愛路線あたりの終焉とともになくなってしまったようですが、もしこの映画の公開時まで継続していたら、こと拷問シーンに関しては、団鬼六原作ものよりも高い評価を受けていたに違いないと思います。
それにしても、加藤泰の映画、90分前後という縛りをかけないと、どんどん冗長な印象となってしまうのは避けがたく、晩年の花田清輝が「宮本武蔵」をこれまでに映画化されたものの中でいちばんツマらなかったと一言のもとに切り捨てていたのにも同意せざるを得ません。
Commented by mukashinoeiga at 2016-09-12 23:28
加藤泰「日本侠花伝」へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。

>如何?

 え、エグすぎますぜ(笑)。管井きんが、特に(笑)。

>この映画の公開時まで継続していたら、こと拷問シーンに関しては、団鬼六原作ものよりも高い評価を受けていたに違いないと思います。

 個人的には、美乳のおっぱいが、無傷なのが、なんとも(笑)。加藤泰は、やはりSM関心ないと思いますな。
「宮本武蔵」は、今回見ていませんので、なんとも記憶外ですが(泣)。  昔の映画
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