滝沢英輔「佳人」芦川いづみ

 神保町にて。「恋する女優 芦川いづみ アンコール」特集。58年、日活。デジタル上映。
e0178641_11303436.jpg 力のない、弱い立場の、悲しい運命の少女を、芦川いづみが、演じる。
 いづみら俳優陣の演技はともかく、古めかしい凡庸なメロドラマ。タイトルは「佳人」だが、「佳作」とは、参らなかった。
 決して治らない難病(現代では、どうなんだろう)小児麻痺のせいで、いかなる意味でも自立できないばかりか、父・宇野重吉、むりやり結婚させられた夫・金子信雄が、ゲスの極みの人間のクズ。難病だけでなく、ゲスな男たちに運命をゆだねる不幸のつるべ打ち。

 なお、まったくカンケーないが、いわゆる育休宣言自民党国会議員が、妻(これまた国会議員)の出産入院中に、女性タレントを自宅に連れ込んだ件が、同じ週刊文春のスクープということで、ゲス不倫と命名(笑)。
 前にも書いたように、ネーミング時には、しゃれている、クールと思ってつけたバンド名が、いったん「穢れ」がつくと、どんどん坂道を転がっていく。おそろしや言霊の力。閑話休題。

e0178641_1131225.png3. 佳人 <神保町シアターHPより>
S33('58)/日活/白黒/スタンダード/1時間46分
■監督:滝沢英輔■原作:藤井重夫■脚本:棚田吾郎■撮影:高村倉太郎■音楽:斎藤一郎■美術:松山崇■出演:葉山良二、芦川いづみ、金子信雄、渡辺美佐子、牧真介、村瀬幸子、宇野重吉、山岡久乃
幼いころから病床に伏す美しい少女(芦川)と出会った青年(葉山)は、彼女への純愛を貫こうと心に誓うが…。戦中戦後の混乱した時代を背景に、薄幸の佳人の生涯を描いたメロドラマ。穢れを知らない芦川の真っ直ぐな瞳に感涙必至。
*デジタル上映

 極めて「古式」な映画。学生・葉山良二の回想から話が始まるが、ナレーションは、葉山自身ではなくて、当時のNHKラジオのノリの、四角張った男性アナウンサー。同じ日活で、鈴木清順監督作で、一回だけ使った、実弟・鈴木健二のナレーションが、いかにもNHKノリであっても、闊達な声であったか(兄と同様に)実感できてしまうほど。

 ちなみに、★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
 こちらの本作キャスト紹介が、爆笑するほど、ひどい(笑)。
 子役少女役が男性名だったり、別の子役ふたりが、?(発表せず)という表現。
 これはおそらく、孫引き元のキネ旬をそのまま踏襲したのだろう。
 これではダメ、と調査したのか、神保町シアターが毎度作る詳細キャスト表ペーパーは、ちゃんとしている。日本映画のデータ精度を上げるためにも、神保町は、ペーパーだけのキャスト表を、すべてネットデータ化すべきだと思う。
 それとも、神保町も、別のデータをコピペしたのか?
 なお、これはMovie Walkerの落ち度というわけにもいかないが、芦川いづみの父親に、笠智衆。
 実際はウノジュウが演じているが、シアターの壁に貼られていたポスターのコピーは、二枚とも笠智衆。
 縦型二分の一のスピードポスターだけならともかく、B3の本ポスターも笠智衆。
 笠智衆から宇野重吉への変更が、いかにぎりぎりだったかが、わかる。
 おそらく堅実な気質の笠智衆が、出演をドタキャンするわけもあるまい。急病か、前の出演作の撮影が延びたのか、本人か監督など撮影所の人間が、この鬼畜父に、笠智衆は、合わない、と判断したのかもしれない。
 後年の森田芳光「それから」でも、松田優作を叱り飛ばす頑固親父を演じていたが、それでも、頑固親父にしては、貫禄がなくて(笑)。本作の冷酷系頑固親父は、まったく、当時の笠智衆には、合わない。
 ウノジュウは、左翼だけあって、冷酷な人間を演じるのが、まことにうまい。
 ちなみに過去の日本映画で、悪役の大量供給源となった新劇俳優の大半が、左翼的であるのは、きわめて理にかなっている(笑)。世界中の大量虐殺独裁者の、ヒトラー、毛沢東、スターリン、ポルポト、小者ではチャウシェスクなど、ことごとく赤い将軍たち
 えっ、ヒトラーが左翼?と、目をぱちぱちする向きは、ナチスの正式名をネット検索されたい。
 安倍晋三程度を、ヒトラー呼ばわりする、福島みずほなど左翼諸君は、ヒトラーは、安倍晋三などより、よっぽど自分たちの仲間だという自覚を、持つべきだ(笑)。再び閑話休題(笑)。

 後年のフカキン「仁義なき戦い」では、悪役ながらユーモアを漂わせていた金子信雄だが、本作では、救いもなく芦川いづみを、いたぶる自称・夫。
 足が萎えて動けないいづみを傍らに寝かせ、芸者・片岡久乃などを連れ込み、その房事を見せ付ける鬼畜ぶり。「それをあなた、あの子ったら、じっと目を見開いて、あたしたちを見てるのよ。気持ち悪いったら、ありゃしない」
 母・村瀬幸子によれば、二十代半ばで、十年遅れて、娘に初生理があった、という。おそらく、成長の遅い彼女の生理は、夫と芸者の房事を間近で見て、「発動」したのだろう。二重の意味で、やるせない。

 いっぽう、とてもうらやましい(笑)のは、中学生の主人公(のちの葉山良二)を、「誘惑」して、いけないことを教える美少女・笊畑美織。どの検索で見ても、本作にしか、出演していない模様。なかなか可愛くて、演技もうまいので、もっと出演しても、と思わせる。
 で、その彼女が、大人になると、モンダイの(笑)渡辺美佐子。この時期の日活で、結構主要脇役女優として大活躍なのだが、その魅力の一片すら、ぼくには、ワカラない(笑)。
 いや、一作だけ魅力的な美佐子も、目視しているのだが(笑)今度、阿佐ヶ谷のモーニングが渡辺美佐子なので、いずれ美佐子論を、やろう(笑)。出来るのか(笑)。

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by mukashinoeiga | 2016-02-10 11:32 | 旧作日本映画感想文 | Trackback(1) | Comments(2)

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Tracked from dezire_photo.. at 2016-02-12 12:08
タイトル : 英国ロイヤルバレエ・プリンシパルに20年以上君臨した不朽..
吉田都 世界水準を超えた『ラ・シルフィード』の魅力MiyakoYoshida; charm of the world level has exceeded the  "La Sylphide"『Miyako 英国ロイヤルバレエ団の至宝・吉田都の軌跡』著者/編集 吉田都, 宮沢優子  2001年 出版社:文藝春秋 吉田都さんは、1988年より2010年まで22年間にわたって英国の2つのロイヤル・バレエ団で最高位プリンシパルを務めました。ユネスコの平和芸術家に任命され、英国ダンス批評家協会・最優秀女性ダ...... more
Commented by お邪魔ビンラディン at 2016-02-11 01:25 x
「魅力的な渡辺美佐子さん」というと、「競輪上人行状記」か「人間に賭けるな」のいずれかというところになりそうですが、清順作品でもそれなりにオイシい役をいくつか演じておられますね。
笊畑美織さんは、ネットで検索すると、数年後の高校卒業と前後して、水原英子と改名して日活のニューフェイスとなったのち、劇団民芸に所属して、おもに舞台とTVで活躍された方のようです。「水原英子」でググると、10年ぐらい前に大滝秀治がなにかの賞をもらった時に彼女がお祝いのキスをする写真もみつかりました。
それから、福島瑞穂などとくらべるのは、ヒトラー、スターリン、毛沢東のいずれに対してもたいへん失礼なことではないかと愚考いたします。わが日本のサヨクたちは、間違っても「わが闘争」、「レーニン主義の基礎」、「マルクス主義と言語学の諸問題」、「実践論」、「矛盾論」といった名著を書くだけの頭をもっていないからです。
Commented by mukashinoeiga at 2016-02-14 08:20
滝沢英輔「佳人」芦川いづみ へのコメント、お邪魔ビンラディンさん、ども。
 女性の好みは、しょせん人それぞれですからねえ。渡辺美佐子は、ちょっと苦手(笑)。誰かが書いていた「渡辺美佐子で、いいのは、浴衣を着て出て来たときだけ」というのには、まったく同意でした。似た感性の人も、いるもんですねえ。
 彼女も出ている清順「その護送車を襲え!」が、ほぼ同時に阿佐ヶ谷、神保町でかかるのも、珍。

>福島瑞穂などとくらべるのは、ヒトラー、

 いえいえ、比較するなど、そんな大それたこと(笑)。たしかに、ヒトラーにも失敬(笑)。
 比べたのではなく、福島など左翼が、安倍をヒトラー呼ばわりすることが多いが、ヒトラーは安倍よりも、むしろお前ら左翼の仲間だろ、同類だろ、同じ陣地にいるんだろ、といいたかったわけです。言葉が足りず、失礼しました。  昔の映画 
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