人気ブログランキング | 話題のタグを見る

深作欣二「ジャコ萬と鉄」高倉健、丹波哲郎、入江若葉、江原眞二郎、高千穗ひづる、南田洋子、山形勲、大坂志郎、浦辺粂子、小川守

 京橋にて。「特集・逝ける映画人を偲んで 2013-2014」特集。64年、東映東京。高倉健の追悼による上映。
深作欣二「ジャコ萬と鉄」高倉健、丹波哲郎、入江若葉、江原眞二郎、高千穗ひづる、南田洋子、山形勲、大坂志郎、浦辺粂子、小川守_e0178641_23222782.jpg 感想駄文済みの★谷口千吉「ジャコ萬と鉄」★のリメイク。
 冒頭、編集のリズムのせいか、もともと撮ってきた素材のゆえか、映画の流れが、ぶつぶつぶつ、切れて、いや、プリントがずたずたというわけではなく、話の流れやら、観客の情感やらが、数十秒ごとに寸断される感じの、編集というか、ドラマというか、要するにドラマ部分とニシン漁ドキュメント部分がうまく融合していないせいだと思うが、まあ谷口千吉は、やっぱり、へただなあ。(自ブログ引用終わり)

 オリジナル谷口版より、本作フカキンリメイク版のほうが、はるかに面白い。
 もともとタニセン版は、いろいろな要素がイギタなく不統一に、アンバランスに編集されていて、どうにも統一感が取れない凡作で、これがなぜ評価が高いのか丸きりわからない、さすが天下の凡匠・タニセンだけのことはあるという、力作だが、凡作。
 一方本作は、これぞバランスが取れた、快調な小傑作。
 やはり黒沢脚本のタニセン映画「暁の脱走」も、そのリメイク鈴木清順「春婦伝」に、及ばず。
 常に映画史的には評価は高いが、後発の意欲的新人にはボロ負けの、さすが天下の凡匠・タニセンだけのことはあるなあ。
 いっぽう同じ黒沢脚本を使っても、段違いの統一感と躍動感を示すフカキン版なのだ。

 とはいえ、タニセン版では、はるばる会いに行く美少女・久我美子は、教会に通う都会の乙女であり、フカキン版の美少女・入江若葉は、健さんの亡き戦友の妹で、牧場の娘である。これでは、まるきり同じ脚本というわけにはいかないのではないか?
 もちろん入江若葉版のほうが、ドラマとしては、良。

深作欣二「ジャコ萬と鉄」高倉健、丹波哲郎、入江若葉、江原眞二郎、高千穗ひづる、南田洋子、山形勲、大坂志郎、浦辺粂子、小川守_e0178641_2323771.pngジャコ萬と鉄(99分, 35mm, 白黒)1964 (東映東京)<フィルムセンターHPより>
(監)深作欣二 (原)梶野悳三 (脚)黒沢明、谷口千吉 (撮)坪井誠 (美)近藤照男 (音)佐藤勝
(出)高倉健、丹波哲郎、江原眞二郎、高千穗ひづる、南田洋子、入江若葉、山形勲、大坂志郎、浦辺粂子、小川守、石島房太郎、岡部正純
1949年の谷口千吉監督作品の再映画化。前作で月形龍之介が演じたジャコ萬を丹羽哲郎、三船敏郎が演じた鉄を高倉健が演じる。漁夫たちの元締め・九兵衛(山形)の前に復讐を誓うジャコ萬が現れ、さらにそこに行方不明だった九兵衛の息子・鉄が戻ってくる…。高倉が「俳優として欲が出る転機になった」作品。

 タニセン版の進藤英太郎・三船敏郎父子と、ジャコ万・月形龍之介は、明らかにバランスを失していて、こちらの山形勲・健さんと、丹波のコラボに、はるかに及ばず。月形はいい役者だが、三船との対比において、ガタイの細さは否めず、苦しすぎる。進藤はコミカルすぎ、三船は、健さんに比較して、徹底的に、青年のさわやかさに、欠ける。
 若き日の健さんは、本作でも、その若さ、さわやかさ、明朗さを、映画に刻んで、圧倒される。そのいちいちの言動が、素晴らしい。重厚すぎて、ムスコ感、青年感がない三船とは、もう問題外であった。
 まあ、フカキンとしても、タニセン版より面白い、といわれても、なんともうれしくはないんだろうけれども(笑)。
 なお高千穗ひづるが、エンエン丹波に迫るも、丹波ガン無視に、黒沢の「オンナ嫌い」を垣間見るが、「あたしを嫌いなのは、あたしにアイヌの血が混じってるから?」と高千穗は、迫るが、ワイルドなジャコ萬が、そんな些事を気にするわけはないじゃないか。
 ここに、左翼・黒沢の、勇み足を見た(笑)。

★【映画】ジャコ萬と鉄 - いくらおにぎりブログ★
 両作を比較して、面白い。
 
★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。

★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

★人気ブログランキング・日本映画★
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
★にほんブログ村・名作なつかし映画★

by mukashinoeiga | 2015-08-31 23:25 | 傑作・快作の森 | Comments(2)

Commented by なご壱 at 2015-09-05 06:39 x
鉄役の健さんは、確かにさわやかで、スピーディーでほれぼれするような演技でしたね。宴会の席での健さんの踊りは、味わいがありました。また九兵衛役の山形勲の表情がなんともいえずよかったです。谷口版は、未見ですが、深作版のほうがおもしろいと言われること頷けます。
Commented by 昔の映画 at 2015-09-06 08:24 x
深作欣二「ジャコ萬と鉄」へのコメント、なご壱さん、ども。
>鉄役の健さんは、確かにさわやかで、スピーディーでほれぼれするような

 ホントに百点満点の好漢ですよね。丹波いわく「憎たらしいほどの孝行息子」。
 さわやかでかるみもある。あのかるみが、晩年一切禁じられたのは、つくづく惜しい。
 山形勲も絶品でした。
名前
URL
削除用パスワード