恩地日出夫「素晴らしい悪女」

 阿佐ヶ谷にて。「昭和の銀幕に輝くヒロイン 第77弾 団令子」モーニング特集。63年、東宝。
 うーん、確かにヒロイン・ダンレイの魅力炸裂だが。シャワーシーンでは、ダンレイ。ヨコ乳を見せて、意外にボインだし(笑)。
 なんといっても、男性側主人公・久保明の役が、トコトン、どんくさい。最初から、最後まで、いろいろドンくさい。
 主人公が徹底してドンくさい映画を見るのは、はっきりいって、苦痛である。
 しかも、久保明のドンくささに対比するように、ドンくささの対極にあるダンレイの、はじけっぷり、なのだが、ダンレイ延々の長台詞。
 こんなにエンエンしゃべり倒し、言葉で説明したら、これも、また、ドンくさい。ドンくさく寡黙な久保明を補うがごとく、ダンレイに、エンエンゃべらせ続けるのだが、しかし、それは、こりにこった名セリフでもなし、単なる駄弁の連続。
 
素晴らしい悪女 <ラピュタ阿佐ヶ谷HPより>
1963年(S38)/東宝/白黒/89分
■監督:恩地日出夫/原作:石原慎太郎/脚本:白坂依志夫/撮影:内海正治/美術:阿久根巌/音楽:武満徹
■出演:久保明、田村奈己、鹿内タカシ、宮口精二、神山繁、小池朝雄、タロー関本、内田裕也、藤原釜足
人を愛さず、お金がすべて。ナイトクラブのホステス・ミカ(団)の自由な生き方に、大学生の大庭(久保)は憧れを抱き始める──。当時の俊英スタッフを揃え、モラルにとらわれない魅惑の女を鮮烈に描き出した一篇。
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 脚本の白坂依志夫といえば、早口膨大なセリフで知られる増村の脚本家でもあったのだが、同じく多弁だが、増村ほどの輝きは、むろん、ない。延々空疎な長台詞をこなすダンレイの不幸よ。
 あまりに紋切り型過ぎて、これでは、ウラ青年の主張、というか、ヤンキー版青年の主張、のモンキリで、見ている(聞いている)こちとらの熱は、駄々下がりで(笑)。
 左翼映画でなくとも、(ウラ)青年の主張の、むなしさよ。
 映画なんだから、すべてを言葉で説明するなよ。冒頭の久保明が横浜の管理人室に住み込みする、その狭い管理人室を、なめるようにパンニングしての移動撮影、その素晴らしさが良かっただけに、あまりに、残念。

 ダンレイも、スケベジジイなどのアマチュアを相手に、小銭を稼ぐのには才を発揮するも、何で、プロたるやくざたちの、密輸ダイヤの取引にまで、手を伸ばすに至るのか、明らかに無謀。しかも、その前段の実験たる、どれくらい早くパトカーがやってくるか、その実験も意味なしで。
 久保明も、そのダンレイに魅了され、悪に手を染めるドンくささ。ひどさもひどし。
 こういうのが、鮮烈な若手の野心作、と喧伝するのだから、映画史は、当てに、ならない。
 なお、ダンレイの末の妹・上原ゆかりは、やはり出色の子役。
 サブヒロイン田村奈己、ダンレイの対比か、ガリガリのサブヒロインは、魅力なし。性格悪い金持ちのぼんぼん・内田裕也、出色の気色悪さ。この気色悪い奴の演技は、後の主演作の数々より、はるかにはるかにはるかに素晴らしい。
◎追記◎各部屋の鍵を管理する管理人の久保に、一千万円の預金通帳のありかを教えてしまうダンレイ。人がいいという以上に、間抜けじゃね(笑)。

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by mukashinoeiga | 2015-05-10 00:22 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(5)

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Commented by なご壱 at 2015-05-10 06:21 x
以前 白坂の自伝を読んだら、このころダンレイと白坂は肉体関係があったとのことです。
Commented by mukashinoeiga at 2015-05-10 07:28
恩地日出夫「素晴らしい悪女」へのコメント、なご壱さん、ども。
白坂、イケメンですから、モテモテでしょうね。監督や同業者から、やきもちやかれなかったのかな(笑)。 昔の映画
Commented by mukashinoeiga at 2017-06-24 19:39
恩地日出夫「素晴らしい悪女」へのメール、古川さん、ども。
 本作についてメールをいただいたんですが(笑)。

初めまして。
私古川と申します。
内田裕也さんの大ファンで、今裕也さんの出てる作品を洗いざらい見ています。
昔の映画で、内田裕也さんが出てる素晴らしき悪女のDVDかブルーレイなどを探しているのですが、
なかなか市場に出回っていないので、もしDVDとかをお持ちでしたら、貸していただけたり、どこかに売っているのでしたら教えていただけませんでしょうか?
よろしくお願いいたします。(以上引用終わり)

 ご存じないとは思いますが、ぼくはほとんどの映画を映画館で見ている映画館主義者(笑)で、DVDは年に十本も見ていません。したがってDVD事情については全く詳しくありません。ネット検索か現実のDVD屋にお問い合わせください。また、見ず知らずの他人に「なかなか市場に出回っていないDVD」を「貸す」ひとは今どき、なかなかいないと思いますよ。そんな人情を期待するとは、殺人者を演じもするロッケンローラー内田裕也のファンとはとうてい思えません(笑)。

 そもそも秘匿性の全くない内容を、コメントではなくメールで送る必然性が、全く理解できません(笑)。なのでこちらの方でご返事いたしました。お役に立てず全く申し訳ありません。 昔の映画
Commented by さすらい日乗 at 2017-07-03 21:06 x
この映画は相当にバカバカしいのですが、南米の革命家らしい鹿内孝が肯定的に描かれていることは興味深いことです。
多分、この頃までは原作の石原慎太郎も、エジプトやキューバの革命にはある種のシンパシーをもっていたことが分かって非常に笑えますね。
Commented by mukashinoeiga at 2017-07-04 02:23
恩地日出夫「素晴らしい悪女」へのコメント、さすらい日乗さん、ども。
 まあ1950年代末からの日活映画では、慎太郎原作であろうがなかろうが革命への幻想はありました。そういう時代でした、慎太郎は常に「時代の寵児」でしたからね。でも今でも憲法改正を唱えるなど革命家ではないですか(笑)。  昔の映画
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