神代辰巳「濡れた欲情 特出し21人」片桐夕子芹明香絵沢萠子高橋明粟津號
渋谷にて。「神代辰巳の世界 没後20年メモリアル特集」。74年、日活。
未見作同時上映ゆえの、何度目かの再見。
ぼくのクマシロ「理解」は、ずぶずぶの庶民(というより、まつろわぬ民、放浪流浪者、長いモラトリアム期にある者)的俗情の揺れ、揺らぎ、たゆたうさまを、性行為(に、まつわる関係性)と、俗歌・流行歌、のあわいに描く、しがない、しかし軽快な人間コメディというところか。
そこに、ふてくされているんだか、一途なんだか、いい加減なんだか、純情なんだか、快なる多面性を見せて輝くのが、クマシロ映画のミューズ芹明香だ。もちろん本作でも、その魅力を最大限に、発揮する。
『濡れた欲情 特出し21人(35mm)』公開:1974年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:神代辰巳
主演:片桐夕子、芹明香、絵沢萠子、古川義範、高橋明、粟津號、吉野あい、庄司三郎、外波山文明、内田栄一、東まみ、宝由加里とその一座、東八千代
ストリッパーの夕子を捨てて旅に出た芳介。旅先でコマしたメイ子にストリップを仕込んでいると夕子が現れて…。演歌と民謡がガンガン流れる中、ネチネチと迫るスケコマシとあっけらかんとしたストリッパーたちの世界が繰り広げられる。芹明香と片桐夕子のダブル主演も素晴らしい!©日活
万事に調子のよいスケコマシ・古川義範の、元カノ・片桐夕子と今カノ・芹明香が、ストリップのレズビアン・ショーのコンビを組む。受け役の芹明香は、片桐夕子に責められて、毎度毎度本気で感じてしまい、「一日四回のショーは、きついわあ、しぬわあ、堪忍してぇ」と哀訴。こんなせりふがサマになる女優は、おそらく芹明香しか、いまい。唯一無二の女優だ。
「ショーなんやから、毎度本気で感じるこたぁないんやで」といわれても、ダメ。
古川義範と芹明香は、ラブホテルで、円形の回転ベッド。
ベッドの上で、これまた回転する二人を映して、何の努力もせずに(笑)フクザツななキャメラ移動や、パンニングと同様の効果が得られる。姫田真左久、してやったりだろうか。
屋台のコップ酒を呑んだ男がぐるぐる走り回るのを追いかけるキャメラも、いい調子で。その屋台の隅で呑んでいる宮下順子のたたずまいも、いい。
なお、かなり挿入されるはみだし劇場・外波山文明(そのサブが内田栄一か)の路上パフォーマンスの、感性が時代と寝てしまっているがゆえに、古びているのは、やむをえないか。
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by mukashinoeiga | 2015-04-19 08:24 | 神代辰巳猥歌 揺れた俗情 | Comments(0)