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神代辰巳「死角関係 隣人夫婦男女四人のからみ合い」酒井和歌子石橋蓮司森本レオ戸川純穂積隆信草野大悟速水亮高林由紀子

 渋谷にて。「神代辰巳の世界 没後20年メモリアル特集」。87年、東宝=日本テレビ。デジタル素材。
 冒頭、火曜サスペンスの、安っぽい番組ロゴがエンエンと。いかにも初期CGで作ってみました感が(笑)。
 お茶の間向け(当時も死語か)のTVドラマとは思えぬ、バッドティストなエンディングまで、ヒロイン酒井和歌子を、トコトン不幸のどん底に落とし込む、神代らの脚本、演出が、TVとしては、異常すぎる(笑)。
 以下、ネタバレあり。

『死角関係 隣人夫婦男女四人のからみ合い(デジタル)』1987年 <渋谷シネマヴェーラHPより>
監督:神代辰巳
主演:酒井和歌子、石橋蓮司、森本レオ、戸川純、穂積隆信、草野大悟、速水亮、高林由紀子、平野稔、柏木隆太、後藤加代、有田麻里(深沢英子)、井上倫宏、浦野隆男、三浦竜也、中川彩、米沢美和子、雛涼子、木村翠、小林正則、松谷聖、藤田雅史、石川直樹、荒田賢司、岡村龍吾、井上栄、青柳文太郎、那波一寿
連続殺人の犯人として夫が逮捕され動揺する妻の裕子は、隣人夫婦を頼るが…。石橋蓮司と酒井和歌子、森本レオと戸川純という怪しすぎる隣人夫婦が絡み合う。極限まで追い詰められ狂っていく裕子(酒井和歌子)の姿を長回しで追う神代! まさにテレビ放送コードぎりぎりレベル!!©東宝
(注)なお「隣人夫婦男女四人のからみ合い」というサブタイトルは、今回の素材には、なかった。冒頭の紹介ナレーションには、あったかも。
神代辰巳「死角関係 隣人夫婦男女四人のからみ合い」酒井和歌子石橋蓮司森本レオ戸川純穂積隆信草野大悟速水亮高林由紀子_e0178641_1095535.jpg


死角関係 キー局NTV <テレビドラマデータベースHPより>
放送曜日・時間 火 21:02-22:51
放送期間 1987/04/28
演出 (監督:神代 辰巳)(助監督:油谷 誠至)(記録:高橋扶佐緒)
企画 小坂  敬 プロデューサ 田中  收(東宝)、清水 欣也(NTV)、(広報担当:東  良子(NTV))
脚本 丸内 敏治、神代 辰巳
音楽 大谷 和夫、(選曲:白井多美雄)(音楽協力:日本テレビ音楽)
主題歌 (テーマ曲:岩崎 宏美「夜のてのひら」(作詞:来生えつこ、作曲:筒美 京平、編曲:武部 聡志)(ビクターレコード))
出演 酒井和歌子、石橋 蓮司、森本 レオ、戸川  純、穂積 隆信、草野 大悟…
解説 変質的な連続殺人が発生。事件のあった日は必ず夫の帰宅が遅いことに気づく裕子。しかも、夫の仕事の受注簿のなかに、被害者の名前を発見。…
(注)この解説は、全然実態にそぐわないデタラメ。いかに一回放送しただけのTVドラマの紹介が難しいことか、その証左か。

 夫・石橋蓮司が、不倫相手の女優を殺害したかどで、逮捕。実は冤罪。
 殺人犯の家ということで、家の窓ガラスに、投石の嵐。幼い子供を殺したとか、凶悪犯ならともかく、こんなのあり?
 子供も学校でいじめられ、PTAの児童保護係りも解任される。
 あまりに卑怯卑劣な週刊誌女性記者コンビに、追い回される。

 ガンガン追い込まれ、泣き、叫び、精神肉体とも変調をきたすヒロインを、これでもか、と長回しの手持ちキャメラが追いつづける。東宝テレビの場で、かつての光り輝く東宝アイドル女優を、いぢめぬく、ほとんどSM責めの様相で。
 こりゃあ、東宝系監督には、おそれ多くて、手が出せないか(笑)。で、日活とざまの神代起用か。
 酒井和歌子も健闘で。
 取調べを受ける石橋も、草野大悟ら刑事にガンガン虐待される。ひどいな警察。

 ということで、酒井のがんばりで、ついに真犯人がわかるのだが、登場人物があまりに少ないので、しかも、いかにも虫も殺さないような、いつもの優しい声ゆえに、推理するまでもなく、真犯人は、最初から明らかなのではある(笑)。
 この真犯人逮捕のアシストをするのが、殺人課(正確には所轄の刑事、当時のTVドラマの、雑な警察認識で)草野大悟らではなくて、少年課の穂積隆信。ま、穂積が少年課刑事というのも、悪い冗談だが。

 やがて、石橋は釈放され、出迎えた酒井と、抱き合い、ハッピーエンド・・・・という定番を、覆し(笑)。
 石橋は、独りに、なりたい・・・・と、妻から遁走してしまう。酒井は、道に倒れて、夫の名前を泣き叫ぶ、という中島みゆき状態。殺されかけても、夫の無実を晴らした酒井の努力は、空転する。
 一ヵ月後、やっと連絡があった夫に会いに行くと、この一ヶ月間入院していて、すっかり健康(笑)。この一ヶ月、その前もずーっと、不安にさいなまれていた酒井の立場は(笑)。
 しかも、これからいっしょにやり直しましょう、と明るく微笑む酒井を前にして、前に錯乱状態の酒井を看護していた看護婦が、怪しい動き(笑)。
 すると、石橋、すまない、実はこのひとと・・・・これからの人生、このひととやり直すんだ、と。
 酒井和歌子、どん底のジェットコースター。
 その後、酒井は趣味を生かしてデザイナーとして、自立する女になる、という着地点で、まあまあ、ドラマは終わるのだが。

 ミステリ趣向が神代にはさらさらなく、不安解消の気晴らしに、中学生の息子と、本気モードでプロレスごっこの酒井、そのくんずほぐれつをしつこいほど追い回すキャメラこそ、TVドラマらしからぬ神代趣向。
 なお、ここまでまったく言及しなかったが、レオ妻・戸川純。その不逞な面構え、思わせぶりな言動は、まるで脱がない芹明香みたいだ。彼女と神代の、本格的コラボも、見てみたかった気もする。

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by mukashinoeiga | 2015-04-03 10:10 | 神代辰巳猥歌 揺れた俗情 | Comments(0)

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