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千葉泰樹「羽織の大將(大将)」

 京橋にて。「映画監督 千葉泰樹Yasuki Chiba Retrospective」特集。60年、東宝。
 就職に失敗、全学連ならぬ全落連会長にして、大学落研(顧問がアンツルこと安藤鶴夫)のフランキーは、趣味を本業にすべく、桂文楽師匠(ベケンヤ本人)の弟子入りを断られ、文楽弟子である桂五楽師匠(加東大介)の内弟子・小文(こぶん)になった。
 しかし古典落語では売れず、新作落語、さらにはTVタレント、CMタレントとして、人気を博す。
 古典落語を捨て、TVタレントとして軽佻浮薄な人気を得たフランキーを、しみじみサトす兄弟子に、小金冶、歌奴、って(笑)。いったいどんな羞恥プレイなんだ(笑)。
 さすがに大御所・金語樓に、そんな屈辱演技はさせられないということか、フランキーのタニマチ役でお茶を濁す。いやあ、小金冶と歌奴、いったいどんな気持ちで演じたのか(笑)。

羽織の大將(108分・35mm・白黒) <フィルムセンターHPより>
大学で法律家の道をめざしながら、趣味の落語の道へと飛び込んだ青年(フランキー)の七転八倒。売れない古典落語の披露をやめ、創作落語に踏み切ったことでテレビに売れ出したが、人気商売は見切られるのも早く…。千葉のペーソスを伴った喜劇性によって、フランキー堺の個性が際立った佳作。
1960(東宝)(監)千葉泰樹(脚)笠原良三(撮)西垣六郎(美)河東安英(音)佐藤勝(出)フランキー堺、団令子、加東大介、原知佐子、東郷晴子、塩澤とき、藤木悠、桂小金治、如月寛多、十朱久雄、三遊亭歌奴、柳家金語樓、安藤鶴夫、桂文樂

 とはいいつつ、史上最強の二ツ目小金冶がアニさんを演じることの、さすがの安定感。何のストレスもなく、すいすい進むこの、親和性。
 加東大介もいいのだが、イマイチ落語家としてのカルミが感じられないんだよね。おそらく師匠としての重厚感を大事にするあまり、落語家としてのカルミを、捨ててしまった演技の結果なのか。
 小金冶アニさんが、まずは新入り落語家の基本、一番太鼓や追い出し太鼓などの基本を教えると、そんなの簡単簡単、と太鼓を叩くフランキー。フランキー映画のお約束ですな(笑)。
 団令子が、フランキーをほのかに恋する。大衆食堂に勤め、寄席に出前する。この団令子がほのかにいい。のちにちゃらい女専門になった彼女の、ほのかな清純感。
 団令子は、華やかな笑顔の裏の、ほのかな不幸を感じさせる女優であるが、その圧倒的なアンパン顔が、シリアス演技の道を、閉ざした。残念。
 フランキーの妹に原知佐子。当時としてはありがちな左傾女子大生。左翼であることが若い衆の時代の趨勢でしたからな。今見ると、ああ、お花畑やなあ、と。そのいちいちの言動が、恥ずかしい。
 左翼であること、これもまた羞恥プレイか(笑)。
 
 フランキーと喧嘩になった、小金冶、ついつい興奮して道に飛び出し、交通事故死。奇妙に成瀬と通底するが、成瀬のスーパーテク(具体的描写をせぬまま、その実を挙げる)には、及ばず。
 とはいえ、お気楽な千葉ちゃんの、愉しさ。

◎おまけ◎ 【追悼】桂小金治 落語「禁酒番屋」【88歳で逝去】
2014/11/05 に公開
文楽師匠を彷彿とさせますね。ちょっぴり。。。
88歳は大往生ですね。
ご冥福をお祈りします。


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by mukashinoeiga | 2015-01-04 23:12 | 千葉泰樹 ヤスキ節の愉しさ | Comments(0)

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