中村登「つむじ風」渥美清伴淳若水ヤエ子加賀まりこ殿山泰司桂小金治伊藤雄之助冨士眞奈美大泉滉藤田まこと
渋谷にて。「甦る中村登」特集。63年、松竹。
感想駄文済みの中村登「わが闘争」の同時上映であるがゆえの再見。
つむじ風 <Movie WalkerHPより>
東京新聞連載・梅崎春生原作を助監の宮崎守と企画部の清水俊男が共同で脚色、「古都(1963)」の中村登が監督した喜劇。撮影もコンビの成島東一郎。
失業中の浅利圭介が乗用車にはね飛ばされた田舎風の青年、松平陣太郎を連れ帰ったのは、逃げた車の持主を探し出して賠償金をたんまりいただこうとの下心があったからである。車のナンバーから犯人は流行作家の加納明治と風呂屋の猿沢三吉のどちらかであることが判り、浅利が加納に、青年が三吉に当ることになった。(以下略)
渥美清 伴淳三郎 若水ヤエ子 加賀まりこ 殿山泰司 川津祐介 桂小金治 沢村貞子 伊藤雄之助 環三千世 冨士眞奈美 大泉滉 藤田まこと
実は、この物語、子供の頃のぼくは大好きで、TVでみた記憶がある。その後、文庫版の原作も、何度か読み返した。それは、この映画の5年後のTVドラマ版のほうだったようだ。映画の好評につき、TVでの、リメイクという感じで、あろうか。
つむじ風 <テレビドラマデータベースHPより>
正体の知れないナマズ髭の主人公・陣内陣太郎(坂本九)という青年の出現により、周囲の人々がそれぞれの欲望に振り回され「つむじ風」のようにグルグル空回りしあう様子をユーモラスに描いていく。【チャンネルNECO番組広報資料より引用】。一部資料では全11回と記載されているが誤りと思われる。
キー局 NHK 放送曜日 水 放送期間 1968/07/03~1968/08/14
放送時間 20:00-21:00 放送回数 7 回 連続/単発 連続 番組名 水曜劇場(第34回~第40回)
主な出演 坂本 九、渡辺 文雄、小林千登勢、殿山 泰司、佐々木 愛、信 欽三(信 欣三)、石立 鉄男、金子 信雄、馬淵 晴子(馬渕 晴子)、中村 是好、織賀 邦江、結城美栄子、桑山 正一、(語り手・小沢栄太郎(小澤栄太郎))
主な脚本 横光 晃
主な演出 成島 庸夫、福井 敬行
原作 梅崎 春生 局系列 NHK 制作会社 NHK
ひょうひょうとした、浮き草のような流れ者、天然なんだか詐欺師なんだか、判別がつかない、ある人から見れば好青年であり、別の人から見れば、いけしゃあしゃあとした図太いヤツ。
頭がいいんだか、一本ねじが緩んでいるんだか、その二面性。
いわゆる典型的トリックスタアという。
そういう主人公を演じて、坂本九は、絶品だった。映画版の、渥美清は、比べれば、ちょっと態度というか押し出しが立派過ぎて(それが渥美のいいところでもあるのだが)、坂本の「正体不明なひょうひょうさ」には、及ばず。
このTVドラマ、何とか再見できないものか。おなじNHK「天下御免」同様、ヴィデオテープに上書きされてしまったのか。
キャストを推測すると、風呂屋泉湯・殿山泰司がゆいいつ同じ役、浅利圭介こと小金治が渡辺文雄、殿山の息子・川津祐介が石立鉄男、風呂屋ライヴァル三吉湯親子、伴淳&加賀まりこが信欣三&小林千登勢か。
さすれば小説家・加納明治&秘書の伊藤雄之助・環三千世が、金子信雄、馬淵晴子、伴淳愛人・冨士眞奈美が結城美栄子、と。
映画版、TV版いずれ劣らぬナイスキャストであることが、わかる。
おそらく、当時まだ好青年役であったろう石立鉄男が、「正体の知れないナマズ髭の主人公・坂本九」に、インスパイアされた演技で、のちの日本TVコメディシリーズに、主演した、というのも、ありえる話ではある。
記憶のかなたのTV版はさておいて、映画版に話を戻す。
お互いが、おっさん、おばはん、と呼び合う怪夫婦の、小金治・沢村貞子が、イマイチ、はじけない。残念。
絶品なのは、ぼくが見た伊藤雄之助史上、もっとも精悍(!)な、あごひげの伊藤雄之助! いつものオトボケキャラの上に、精悍さを加味。こんなワイルドな、男としての現役感(笑)を漂わせた雄之助は、初めて。
その雄之助を、ことごとくチカラで支配しようとする眼鏡っ子の秘書女史・環三千世も、絶品で。この二人の精神的SM合戦は、もっと見たい(笑)。
清純そうでアバズレ、アバズレそうで清純の、冨士眞奈美もいい。若い身空の女子大生が、金ほしさに、よりによって、伴淳の愛人とは(笑)。クレージーすぎる設定を、らくらくこなす。
これに比べれば、TV版の結城美栄子は、清純さのカケラもないので、ここは、少しイマイチか。
中村登の演出は、時に若々しいショットも交え、それなりに見せる。
★Movie Walker★に、詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
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by mukashinoeiga | 2014-09-07 10:48 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)