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福田純「吼えろ脱獄囚」

 阿佐ヶ谷にて。「漢★佐藤允!BANG!BANG!BANG!」特集。62年、東宝。9/10(火)まで上映中。
 意外な拾い物、なかなかの快作だと思う。
お楽しみ1 この時期の東宝アクションは、明らかに、日活無国籍アクションへの、憧れ、オマージュも、あったと思う。本作もそのとおり。
 佐藤允と、無国籍な殺し屋・中丸忠雄との、クライマックスなど、まさに日活アクションそのまま。いや、それ以上かも。ユーモア、きざなせりふ、アクション。上出来で。
 たいへん、楽しい。
 ムロン、中丸忠雄は宍戸錠ほどカットんではいないし、佐藤允は小林旭でも赤木圭一郎でも裕次郎でもない。そこが、役者が、日活に比べて、弱いのだが、しかし、この楽しさは、充分合格点で。
お楽しみ2 本作は、当時の東宝若手美人女優がたいへん充実。やはり、美人は、クリアな白黒映像に、映える。
 ヒロイン・水野久美、絶美
 愛称がベビーちゃん(ふさわしい)星由里子、かわいい。
 小娘と揶揄される浜美枝、彼女の短い美貌絶頂期にジャスト・フィットの、愛らしさ。
 この三人に対比されるヴァンプ役・北あけみも、うれしい。
 この四人の絶対の魅力をうまく生かした演出は、最高度の輝き。
 ちなみに、こんなに多数の女優たちの魅力が突出しているということは、はっきり言って、主役であるはずの佐藤允の出番が、減ることを意味する。いわゆる一線級の東宝男性スタアの主演ではなくて、二線級の佐藤允が主演の意味がここにある。こんなに第二ヒロイン、第三ヒロイン、脇役が充実した映画を、一線級のスタアは、まず、受けまい。逆に言えば、それだけ、面白い映画ということだ。
 なお、水野久美も星由里子も歌う。
お楽しみ3 夏木陽介、中丸忠雄、田崎潤、南道郎(いつでも絶品の渋いしゃがれ声の! ヤなヤツ(笑)。そのヤなヤツぶりが素晴らしく、このひとが出てくるだけで、いつもニコニコ)、冒頭すぐ殺されちゃう西條康彦、地味な刑事役が例によって味わい深い田島義文、そして後年ウルトラマンを演じた古谷敏のデヴュー作でもある(殺されるバーテン役、星由里子のカレ氏役、ただしオーラはない)。何気に、男優陣もよいなあ。
お楽しみ4 実は本作は、日活アクションへの親近性だけではなく、なぜか、当時まだそれほどカッとんでもいなくて、注目もされていなかった、鈴木清順への親近性、オフビートで、クールな、コミカルな、清順タッチ的なものも、垣間見られるのだ。
 やはり無国籍な日活アクションを志向すれば、極めれば、そういう方向に、つまりきわめて遊戯的な、美学的な、純粋アクション的な、シニカルなコメディ方向に、日活の意欲的な監督も、東宝の若い監督も、自然と向かってしまうという、当時の若い監督の、集団的無意識?なのだろうか。
 いずれにしろ、ぼくにとって、たいへん楽しい映画でありました。
 特に、東宝若手女優の充実度は、言うことなし。
 あ、佐藤允は? まあ、いつもと、おんなじ(笑)。特に、言うべきこともありません(笑)。

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by mukashinoeiga | 2013-09-09 23:50 | 傑作・快作の森 | Comments(0)

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