今村昌平「復讐するは我にあり」緒形拳倍賞美津子三国連太郎

 池袋にて。「渾身の役者魂 名優・三国連太郎を偲ぶ」特集。79年、今村プロ=松竹。
e0178641_22445341.jpg 神山征二郎「三たびの海峡」同時上映ゆえの「ついで見」再見。といっても、初公開時に見たきりだから、ラストの三国と倍賞美津子が中空に骨を投げると、なぜか遺骨が中空にストップ・モーションでとどまってしまう、というシーンしか、記憶にない。
 おそらく、連続殺人犯・詐欺犯の緒形拳の死刑後の魂は、まだ「この世に未練がある」ということなのだろうか。「浮かばれない」魂を、「中空に浮かぶ遺骨」で、表しているのか(笑)。そりゃ、無理スジの発想だが、逆に、わからないでもない(笑)。なんのこっちゃ。
 しかし、「散骨」ということだが、骨粉にしない、そのまんまの骨を、ばら撒き散らすのは、これは、違法行為なんじゃないか。あとで発見されたら、人骨ということで、当然捜査対象になるわけだろ。緒形拳、死んでも、違法行為か。

 で、公開当時に見ても、ぼくには、本作はつまらなかった。
 理由は三つある
 ひとつは、名優とされ、当時は嫌がらせのように(笑)話題作への主演作が相次いだ、緒形拳、仲代達矢、このふたりの演技が、どこがいいのか、ともに舞台上がりの、非映画的演技にしか、見えなかった。
 主演であることの快が、ほとんど見出せない、クサいが、ワンパターンの凡庸な演技。映画の主演者に欠かせない、スタアの快が、ほとんど感じられなかった。
 スタアの快がないばかりか、世間で言われているほど、うまくない。うまくない上に、こういうスタアの快がない主演者の映画を見ることほど、味気ないものはない。
 ついでに言うと、仲代の無名塾の弟子たち、たとえば、隆大介、真木よう子(彼女は仲代塾からは速攻でバックレタようだが)は仲代同様華もなければ、さしてうまい演技とも思われない。真木よう子最新主演作「さよなら渓谷」も、作品、主演者ともに、うんざりな凡庸さで、「新・今、そこにある映画」に感想を駄文する気も、起こらない(笑)。
 一方、役所広司は、率直にうまいと思うし、主演者としての華があると思う。

 第二の、つまらないと思った理由は、当時はわからなかった、大人の味というか、大人の映画でしたね。緒形の実父・三国連太郎と、緒形の嫁・倍賞美津子が、温泉で乳繰り合う、しかもぎりぎりのところで寸止め、なんて、当時若造であったぼくなどには、まるでわかりまへんわな(笑)。
 しかし、もはやオヤジになった(笑)いま見ると、この倍賞美津子は、キャリア最高の美貌とセクシーさで。
 当時わからなかったといえば、緒形にだまされ、コマされ、最後に殺される薄幸の女・小川真由美が、殺される前に漬物をつけている。その漬物には、唐辛子をべったりマッカッカに、つけている。おそらく初見当時は知識がなく気にも留めていなかったが、彼女が毎年冬に漬けている漬物というのは、いわゆる朝鮮漬けだったのか。
 韓流ブームでもない当時、朝鮮漬けを漬けている小川の出自が、ここでさりげなく示されていたのだろう。その母・清川虹子が、殺人経験者であるのも、示唆的である。
 第三のつまらないと思った理由は、こういう、実在した、陰惨なシリアルキラーの、行状を、淡々と追って、どこが、面白いのか、と。
 で、今回30年ぶりに再見して、
1 うまくない、華がない、なりに緒形拳の演技は、何とか、合格点かと、考えが変わった。華がない、天分の演技力もない、そのなかで、よく、やって、いるほうだ、と。究極の上から目線だと、自分でも、思うが(笑)。
2 いま、再見すると、意外にユーモアがあり。大人の味。
 シリアスな連続殺人犯の映画で、この余裕は、うれしい。
 緒形が、時々下手な短歌とも川柳ともつかぬものをぼつりぼつり。まるで今村昌平「にっぽん昆虫記」の左幸子みたい。本作は「にっぽん昆虫記」の、男版、凶悪犯罪者版なんだったのだな、と。また、いわゆるエンプティショットで写される、養殖ウナギたち。このころからウナギかあ今村。
3 確かに殺人者としても、詐欺師としても中途半端。映画としても、中途半端。
 おそらく今村の師匠・川島雄三が、コメディとして、フランキー堺主演で作っていたら、これは相当ブラックな傑作になっていたのでは、ないか(笑)。

緒形拳   →フランキー堺
父三国連太郎→モリシゲ
母ミヤコ蝶々→浪花千栄子
嫁倍賞美津子→淡島千景

 ああ、鉄壁のキャスティング(泣)。なお、フランキーも本作に、笑い抜きの刑事役で出演。OLD映画ファンとしては、よりいっそうの無念感。
 今村昌平「ええじゃないか」にしても「楢山節考」にしても「うなぎ」にしても「黒い雨」にしても、何だ、師匠の川島が撮ったら、もっと傑作じゃん、という映画ばっかり。 (泣)だよ、今村昌平

復讐するは我にあり(予告)


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by mukashinoeiga | 2013-08-27 00:08 | 旧作日本映画感想文 | Trackback | Comments(0)

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