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西河克己「風のある道」芦川いづみ北原三枝清水まゆみ岡田真澄小高雄二葉山良二大坂志郎山根寿子

なかなかの快作。神保町にて。「文豪と映画 川端康成「『恋ごころ』の情景」特集。59年、日活。
西河克己「風のある道」芦川いづみ北原三枝清水まゆみ岡田真澄小高雄二葉山良二大坂志郎山根寿子_e0178641_22212271.jpg お話は、ありがちな展開だが、画面の緊密感が心地よい。ウェルメイドなプログラム・ピクチャアを量産した西河(しばしばヌルい)が、こんなに、シマった映画を作りえるとは。
 初見と思い駆けつけたら、既視感ありあり(泣)。でも、初見以上に楽しめた(笑)。
 長女・北原三枝、次女・芦川いづみ、末っ子・清水まゆみの、日活お得意の美人姉妹モノでもある。この三人のそろい踏みを見ているだけで、モトを取ってしまうし、さらに映画のシマリもいい。ナイス。
 ただし、あまりに日活寄りの話になっているので、川端原作(もちろん未読(笑))、相当脚色しているのでは?

 長女・北原は岡田真澄と新婚なのに、夫に浮気されまくりで、すでにあきらめ状態。
 次女・芦川は生け花家元のボンボンのセレブ・小高雄二と婚約しているにもかかわらず、知的障害者支援施設の貧しい先生・葉山良二に心を移す。
 末っ子・清水は、まだまだ色気より食い気の女子大生だが(しょっちゅう、何かを食べているのが、かわいい)、貧しくも理想に燃える好青年・葉山に恋して、次女・芦川に対抗心。
 夫の浮気で、新婚にしてすでに倦怠期の新妻、という、ある意味「文芸映画」なら、女優としてはおいしい役柄も、北原は、きわめてかわいらしく、かつクールに(つまり、いつもの、北原三枝ですね)演じる。日活、および西河ならではのアイドル演技。といって、それが違和感というわけでもなく、きわめて楽しい見もの。
 ああ、これこそが日活であり、西河であり、北原三枝なんだよなあ。結婚即引退は、あまりに、惜しすぎた。
 芦川も、その点では同様だが、北原よりも演技の幅が狭いので、結婚即引退は、まあ、しょうがない? ただし、やはり、かわいい。
 三姉妹・四姉妹モノの、末っ子は、色気より食い気、ハッチャケお転婆と、相場が決まっているが、本作の清水まゆみも、期待にたがわぬ末っ子ぶりで。ナイス。
 日活お得意のタイプキャスト、金持ちのボンボンで、女の純情を平気で踏みにじる冷血エリート。まずしい朴訥な純情青年。小高雄二と葉山良二の対比的キャスティング。要領のよさが、チョイイラつく絵に描いた二枚目小高、要領の悪さが、善良さをかもし出す葉山、ともにナイス。

 三姉妹の両親に大坂志郎、山根寿子。本映画の〆は、三姉妹の笑顔というありがちなものではなく、大坂志郎が妻に「われわれは、死ぬまで、恥をかいて歩かなきゃならんだろうね」と、名演。 (注)
 かつて小津安二郎「東京物語」53年で、頼りない独身三男を演じた大坂が、6年もたたない本作で、初老の父親を演じる。これまで、大坂の演技力について、特に何も感じなかった不明を恥じる。
 (注) 「東京物語」は53年の、本作は59年の、それぞれ芸術祭参加作品、だという。まあ「東京物語」とは格が違い、比較するわけではないが、本作が、三姉妹みんなで大はしゃぎ、というラストでもないのは、やはり、芸術祭参加として、おゲージュツ方面に、針が振れているせいだろうか。

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by mukashinoeiga | 2013-06-02 07:39 | 芦川いづみ:青春快談いづみ晴れるか | Comments(0)

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