武智鉄二「白日夢2」愛染恭子霧浪千寿
渋谷にて。「武智映画100年 孤高の表現者とそのむすめ」特集。87年、グローバル映画。
本作が、18禁というのは、納得。映画の大部分が、セックスシーン。
顔からして、お下劣なまでに、性欲満々なフェロモン顔の愛染恭子が主演。この、フェロモン顔が、お下劣大好きな武智映画に、合う合う。
和服の若い女性が、突然の歯痛で「この近くに歯医者さんはありませんか?」、ということで歯科医院に行くと、女医さんが愛染。「抜歯しましょう」、これまたお下劣そうな看護婦ふたりに麻酔を命じると、部分麻酔にあらず、全身麻酔。かくて、和服の娘は、裸にされ、女医、看護婦のトリオに、からだじゅうを舐めまくられて・…。
娘は、はだかで監禁されて、女に、犯されまくる。男にも、愛される。
娘(霧浪千寿という、いかにも武智な、歌舞伎由来の芸名)、けっこう、かわいい。この後、活躍したのか、どうか。
その彼女が、ベッドルームにはだかで監禁されて、ドアを開けると、海だったり、交通の激しい道路だったり、原色のお花畑だったりの、サイケな合成。うーむ、凡庸。
ただし、彼女が、ついに部屋を脱出、深夜の無人の住宅街を、はだかで歩き、深夜のホームにはだかで立ち尽くし、やってきた江ノ電にはだかで乗る、という描写は、なかなかいい。
乗った江ノ電電車は、ふつうの江ノ電だが、その内部は、なぜか昭和初期風の木造づくり。その古風な無人列車に、はだかの彼女。車窓には、沿線風景が流れる合成。
その、マスクを切った合成場面が、質感の悪い、いかにも合成ですの、あからさま。そこに、愛染や若い男が出現して、彼女を責めたり、愛し合ったり。合成車窓をバックにしたこのやり取り、なんだか大林宣彦が、ポルノを撮っているみたいな味わい。いいなあ。
ほとんど、意味もなく、菅貫太郎が、いくつかの役で、画面を彩る? 黒マントの怪人だったり、江ノ電の車掌だったり。
また、セックスシーンでは、ほんらい日本の映画としては、ボカシが入る箇所に、合成画面。
犯される霧浪千寿の、股間部分に、霧浪千寿の別角度からのあえぎ顔や、愛染恭子の舐めてる顔が、文字通りインサートされ、まあ、これはこれで、アイディア。無粋なぼかし、黒味より、はるかに、いい。
しかも、股間のあえぎ顔が、微妙に、別角度、微妙に時差があり、これは、日本映画のボカシ史上、稀有なすばらしさ。
◎追記◎鈴木清順「殺しの烙印」。監督未詳のまま、おそらく編集・丹治睦夫が、(あるいは会社に命じられて)独断でつけた大胆な黒味(宍戸錠の股間などに)、といっても、大体は、鈴木清順、日活時代はあんまり編集に立ち会わないと公言している以上、俺は、そんなの知らない、なんていいワケは通じない。しかも、おそらく、原典は鈴木清順「けんかえれじい」(編集・丹治睦夫)の会津中学シーンでの、大胆な黒味だろう。というわけで、日本映画の黒味史上最強の黒味は、「殺しの烙印」「けんかえれじい」ね。
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by mukashinoeiga | 2012-08-03 10:28 | 旧作日本映画感想文 | Comments(4)
実はネットで完全にモザイクなしで無修正の第一作を拝見しました。
ぼかしは初期の技術、モザイクはその次の技術、やむを得ない工夫でしたが、まあもうどうでもいいです(笑)。
爺になってみれば、愛染のあれも、男のナニも、興味なし(笑)。
映画として工夫は数々あれど、つまらない映画だなあ、と。妄言多謝。 昔の映画