坂本龍馬 vs 伊藤博文

 與那覇潤「中国化する日本/日中「文明の衝突」一千年史」という本が、なかなか刺激的な本であり、なおかつバカ本であるというお話その3
 著者によれば、平安末期以降の日本人が、延々拒否してきた「近世中国」のシステムを、いや、これは「西洋近代」のグローバル・スタンダードですから、とごまかしごまかし、日本に導入したのが「明治維新」だと。
 だから、日本人は、<中国化>した、自由競争と自己責任の明治社会に疲れ果てて、実のところ明治維新という社会改革を、気持ちの底では、素直に喜んでいないのではないか、と。
 ここまでは、まあ、わかる。しかし、「日本人は本当は明治維新を嫌悪しているのだ」ということの、次に著者があげる例証があまりにバカすぎる(笑)。著者は言う。以下、引用。

 「維新の英雄」の一番人気が、戦前は西郷隆盛、戦後は坂本龍馬という、ともに「志半ばで倒れた人」であり、真に明治国家の中枢を担った伊藤博文や山縣有朋でないことは、まさに示唆的でしょう。
 こういう「本当は心のどこかで嫌いな明治維新」を、「でも、それは西洋化だから、中国人や朝鮮人にはできなかったすごいことだから」という「他人に対する見栄」だけで無理やり好きになろうと自己暗示をかけ続けるのは、危険な状態です。

 バカな與那覇潤は、どんどん妄想を広げていきます。まず、日本人は、そんなに明治維新が嫌いか。次に、どう見ても「明治維新への評価」にはさほど関係なさそうな、嫌中、嫌韓感情まで持ち出して、「他人に対する見栄」って、どういうことですか、まさか、日本人が中国人や韓国人に対して、見栄を張っているということですか。そういう文脈ですよね。かってに「日本人の心理」なんていうものを大雑把に妄想しておいて、あげくのはてに、それを「危険な状態」とまで言う。
 與那覇潤、お前は歴史学者か、香山リカ並みの精神科医か。

 そもそも、この話の前提となる、「日本人は実は明治維新が好きじゃないのは、伊藤、山縣より、龍馬、西郷が好きなことでも、わかるでしょ」というのが、あまりに頓珍漢すぎて(苦笑)。
 「志半ばで倒れた人」を「悲劇のヒーロー」として愛惜するのは、日本人の悲劇好み、判官びいきというもので、明治維新の功罪、好き嫌いとは、何の関係も、ない。
 だいいち、龍馬、西郷のキャラは、限りなく立っているが、伊藤、ましてや山縣、キャラ立ってないでしょ。かつての「人気のセ、実力のパ」じゃないけど、人気者と「実力者」が、必ず一致するわけではないので。
 龍馬、西郷らは、革命第一世代として、来るべき明治維新を、文字通り、命をかけて、準備し、その成功の果実をなんら手にしないまま(西郷は、ちょっとは、果実の匂いくらいは嗅いだかな)、まさに「志半ばで倒れた」。
 伊藤など、革命期(維新準備期)には、単なる下っ端、うるさ型の上の世代がほぼいなくなったあとに、維新後、高位高官の栄誉をいちばんに手にし、蓄「妾」の限りを尽くしたと、言われている。革命第二世代が、成功の果実を、俗っぽく言えば、龍馬、西郷らの葬式で、受付をしながら、こっそり香典泥棒したようなもの、とは、さすがに、ちと言い過ぎですがね。
 多くの無名草莽の維新志士とともに、亡くなった龍馬、そのあとを追ったかの、今の明治政府では、彼ら死んだ志士たちに申し訳ないという思いの西郷、これに対し、数多くの志士たちの犠牲の元に、栄耀栄華を極め(なんてったって初代日本国総理ですからね)繰り返しますが、数多くの蓄妾伝説の伊藤、どっちが「庶民人気」があるのか、わかりすぎるくらいの差、でしょう。

 でも、それと「明治維新の好き嫌い」とは、繰り返しますが、「何の関係もない」。
 もちろん著者の卓説どおり、「中国化された明治維新」が、嫌いで、自由競争社会の成功者、伊藤や山縣に対して、庶民が、嫌悪感を持つのは、当然ではありますけれどね。それは、われわれが、今の鳩山、菅、小沢が好きか嫌いか、と考えてみれば明らか。って、この三人を持ち出しては、伊藤らに失礼か(笑)。

 伊藤も結局、暗殺されたりして、まあ非業の死なのですが、龍馬と比べるべくもなく、あまり日本人の同情は、呼ばないのは、まあ、人気が、ないんでしょうね。
 いい目をたくさん見たあとの暗殺であり、よりによって、なんだかヨクワカラナイ朝鮮人テロリストもどきに、つい、思わず殺されちゃいました、というお間抜け感ともセットになって、初代日本国総理の暗殺なのに、なんだか「日韓史」の事項の扱い(つまり、日本史本誌ではない、ローカル史)、どうも他人事で、メインの「日本史」では、脚注扱い、と言う印象があるのですが。
 日本史いちばんの人気キャラ・龍馬と、暗殺されてもいっこうに同情されない不人気キャラ・伊藤を同列に論じること自体、與那覇潤の頓珍漢ではないか。
 ちなみに、この不人気キャラを「暗殺」した頓珍漢男が、韓国では「韓国史上一番人気」なのが、苦笑するところで。今で言えば、鳩山や菅が韓国に行って、通り魔に殺されるようなものか。その通り魔が、一夜で韓国マスコミ界でヒーローになる感じ? いや、相手が鳩山や菅なら、日本でもヒーロー扱いか(笑)。
 さらに蛇足だが、半島人たちは、この暗殺から程なくして、うるさ型の革命第一世代、およびその家族一族をも、ばんばん粛清しまくって、葬式さえ出さないまま、その香典を全部盗んでいった男を、「狩猟様」、もとい「首領様」と、呼ぶようになる。
 與那覇潤の、明治維新考察、目をムクような珍説もあるが、目からうろこの説もあり、続く、予定。

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by mukashinoeiga | 2012-04-12 07:54 | うわごと | Trackback | Comments(0)

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