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承前・山本晋也「尻(おしり)の神秘」

 上野にて。「ピンク映画生誕50周年」特集。74年、新東宝。
 どうやら公序良俗に反する反社会的(笑)な映画館らしい上野オークラが、推奨し、なおかつ無料で置いてある「本日の朝日新聞 ご自由におとり下さい」コーナーから、当日の朝日朝刊を手に取り、一階席へ。
 がらがらである。ほんの数人の観客。もっとも、平日の朝イチ、10時台だから、無理もない。「そういう事態」は、おそらく夕方あたりから深夜にかけてのことと、推測される(上野オークラは連日、朝までオールナイト)。
 ま、そんなことは、今回はとりあえず(笑)どうでもいいわけで。

 今回、見た3本立ては、全てデジタル素材。 
 山本晋也「尻(おしり)の神秘」74年・新東宝は、もとの素材となったのは、一部が相当に退色した上映用ポジを、デジタル化したもの。大部分は、それなりに見えるが、一部の画面は白色化し、識別が難しい。何の補正なしに、元素材の劣化を、そのまま引き継いだもの。
 新田栄「馬小屋の未亡人-異常興奮-」97年・エクセスは、まるで、かつての家庭用ヴィデオを拡大したかのような、雑な画質のデジタル。安いデジタル化。
 小川和久「痴漢・穴場びしょ濡れ」96年・大蔵映画は、やや高画質な業務用デジタルの水準。
 ま、つまり、各社、それぞれという感じか。

 さて、本作。期待したような、山本晋也独特の軽コメディではなくて、まじめ?なドキュメンタリー調? その意味では、ちとがっかり。といっても、オフの声で、山本晋也が落語を始めたり、そのコメディ志向は、垣間見れる。
 ぼくが昔見ていた、オジサンっぽい野上正義ではなくて、まだまだ若い野上(まるで、当時の深夜放送のDJといったオモムキ)が、レポーターとなって、女の尻を探求?するというもの。
 なんでも、野上によれば、女の尻には、5種類あって、丸型、四角型、三角型、細腰?型(柳腰型? この辺、記憶があいまい)、ハート型、それぞれの尻の形によって、淫乱派、慎重派、家庭的、など性格が全部ちかうという。つまり、女は尻の形で、血液型以上に、性格が全部規定されるという珍論。この尻の形の女の性癖、性格は、こうで、とことごとく断言する野上正義。
 馬鹿馬鹿しいが、面白くない。さまざまに映される女の尻が、動いているし、どんどん変わるので、丸と四角の区別さえ、動体視力のないぼくには、ヨクワカラナイ。まあ、そういう尻型は言い訳で、ようは女の裸を映せばいいわけだろう。

 野上正義はキャメラで女の裸を撮り、実際にセックスして(まあ、もちろん、演技)、尻と女のはだかを探求?する。そのなかで、この時代は、VTRが、一般化した時期。TV局かプロ以外に、そう、低予算ピンク映画にも、降りてきて、新奇な趣向として、扱われる。モデルのヌードを撮ったあと、すぐにそのモデルと、TVモニターを見て、確認する。目黒エンペラー(今でもあるのか)で、ほかのカップルが撮った消し忘れヴィデオ(そういえば、今は死語の、そういう言葉がありましたな)を、鑑賞したり。
 当時のヴィデオは、白黒で、画像ノイズのちらつつきも多い。より高画質の35ミリフィルムだけでなく、わざわざ低画質のヴィデオ映像がインサートされ、それが当時は、何か、新規で、隠微らしさが、あったのかも、知れない。その低画質ヴィデオと、フィルム劣化を経た35ミリフィルムの混合を、今、これまた安っぽいデジタル素材で、見ている。いったい技術は進歩しているのか退化しているのか(笑)。
 技術の進化退化はともかく、それらが映し出している行為そのものは、今と変わらない・・・・はずなのだが。これは山本晋也独特の、純粋なおふざけコメディではないものの、その体質は濃厚で。
 行為の最中に、おならを連発する女。あえぎ声が笑い声そっくり、あえぎ顔が大口開けて笑っているようにしか見えない、不気味なご婦人など、その顔が、怖すぎる(笑)。
 デジタル素材であっても、山本晋也コメディは、再評価されてしかるべき。ま、本作は別にしても(笑)。なお、TV「タモリ倶楽部」オープニングの尻ダンスそっくりのシーンも、あった。

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by mukashinoeiga | 2012-03-29 07:23 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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