「傍聞き」:B型にはつらいよ

 船橋駅前・ときわ書房のU氏が、<これぞ本屋の店員が「百万部売っても売り足りない!」と叫びたくなるほどの珠玉の一冊だ!>と、絶賛し、そのコメントは、長岡弘樹「傍聞き」(双葉文庫)の帯にも、大きく載っている。しかも、「おすすめ文庫王国2012」国内ミステリー部門ダントツの第1位とのこと。
 うーむ、それほど、すごいのか、と、読んでみた。
 4つの、短い短編を納めている。
 最初の「迷走」。
 うーむ、やはり、面白い。ビター・スイートな快作だ。
 ところが、残りの三作は、みな同じ調子。全ての描写が伏線に奉仕し、無駄な描写が、ない。U氏の言う「一切のムダを排して滋味に富み、研ぎ澄まされた短編ミステリの凄み」なのだが、あまりに無駄がなく、滋味を感じることが、ぼくには、出来ない。
 伏線のみに奉仕して、無駄がないので、余裕とかスキとか遊びとかムダがないと、B型のぼくには?耐えられないのかもしれん(笑)。
 ファースト・インプレッション「迷走」が、面白かったのは、最初ということもあるが、救急車隊員を登場人物とした「迷走」で、クライマックスにいたる、救急車の迷走という、アクション、そしてサスペンスの宙吊りが、あったからだと思う。
 残りの三作は、はい、伏線出し切りました、はい、結末です、と、あまりに余裕がなさ過ぎる印象で。なんとなく、義理マン感(笑)があり、読者であるぼくを、うまくイカせてくれない感じで。
 しかも、「迷走」は、同じ人物が、自らの信念で、三度、同じ発想の、似たような行動を取る。これはありがちなことで、無理がない。
 ところが残り三作「傍聞き」「899」「迷い箱」は、複数の人物が、同じ発想に基く、似たような行動を取る。もちろん、そういう示唆があったからなのだが、同一人物が同じ発想に基く行動を取ることに比べると、別人たちが、同じ発想に基く行動を取ることには、何らかのエクスキューズが必要なのではないか。
 有効、有意義な発想だから、それに基く行動を、簡単に、複数の人たちが、取りうるのだろうか。何らかの「共感」の描写が必要だろう。ある人と、別の人が同じ発想をするにいたる、何か特別なエピソードが。
 しかし、これらの作品は、あまりに無駄がない。こういう「共感の場」は、「ダレ場」?の余裕が必要な?描写なのではないか。
 伏線は、素晴らしい。しかし伏線ばかりで、ダレ場がない、筋肉体質。伏線を張り終わると、即伏線の回収。しかし、豊かなミステリとするには、ミスリード、ミスディレクションも、必要なのではないか。
 必要最小限、4つの短い短編だけで、B型のあっしは、飽きました。われながら、こらえ性がないなあ(笑)。 

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by mukashinoeiga | 2012-03-04 22:48 | うわごと | Trackback | Comments(0)

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