人気ブログランキング | 話題のタグを見る

マキノ雅弘「女組長」江波杏子山田五十鈴佐野周二津川雅彦水島道太郎水野久美佐藤允平泉征成田三樹夫水島道太郎金子信雄

 渋谷にて。「次郎長三国志&マキノレアもの傑作選!」特集。70年、大映。
 マキノ雅弘「赤城の血祭」の、同時上映ゆえの、再見作。しかし、記憶力が、異常に弱い(笑)ぼくが再見しても、細部をはっきりくっきり覚えているのは、さすが、マキノ。 
マキノ雅弘「女組長」江波杏子山田五十鈴佐野周二津川雅彦水島道太郎水野久美佐藤允平泉征成田三樹夫水島道太郎金子信雄_e0178641_2172962.png 明治の頃の新橋駅、その駅前の、やや外れたあたりを大オープンに組んで、汽車は出せないものの、ちんちん電車も走る、末期大映としては、まあ、破格のオープンセット。
 まあ、その市電も、あまり早く走れないいいわけに、たびたび葬列や、火事場騒ぎで、徐行運転、ないし停止。ここら辺は、演出の見せどころか。

 江戸以来の名物・町火消し、ゐ組の頭が殺された。あとに残る、平泉征、成田三樹夫などの若者ばかりで、いささか頼りない。後見役の佐野周二も、め組の頭だから、イマイチ、片手間で。
 ここで頼りになるのは、オトコ顔・江波杏子、死んだ頭の娘。といっても、十三の年から、山田五十鈴に預けられ、今では、立派な芸者稼業、火消しの、ひの字くらいしか、知らない。
 ゐ組の頭、江波の父を殺したのは、悪徳ヤクザ・水島道太郎、悪徳代議士・金子信雄(今でいえば、小沢一郎のイメージ)と、結託して、新橋駅の鉄道貨物の荷役、駅拡張の土木関係を、ゐ組から奪い、独占契約をしようという。マキノ的典型的な、新興悪徳ヤクザと、旧弊本格ヤクザの、拮抗。
 そこへ、殺された親分の娘が、芸者という新機軸。いや、マキノ的には、ちっとも新機軸ではなく、これが、マキノ気力充実の、東映60年代の、男・高倉健、女・藤純子の、コンビなら、絶品の傑作に、なっただろう。
 しかし、おそらくマキノの映画的気力も衰え、東映とは違う、江波、成田らの、大映男女俳優独特のクールなティストは、やはり、マキノには、あわなかったか。
 しかも、高倉健に当たる流れ者ヒーローに、なんと、佐藤允。佐藤允と、その愛人(江波の先輩芸者)は水野久美(関係ないが、最初の漢字変換は水の汲み、これもダジャレネーミング?)、ともに東宝系だが、クレジットに、<山田五十鈴(東宝)>のように、東宝のカッコつかず。山田五十鈴は、舞台の関係で、東宝専属という形で重視されていたが、佐藤允、水野久美クラスだと、この時期、東宝専属を外されていたのね。
 つまり、東映の、健さん、純子にこそ、ベスト・マッチングな、この時期のマキノが、大映・江波、成田、平泉、もと東宝・佐藤、水野、もと松竹・佐野、らの、ビミョーにマキノと違うティストの、あるいは、映画文化が異なる役者を、まあ、ぼちぼちと、まとめている。
 そういうマキノの頼りは、悪役としても絶対の安定感・盟友水島道太郎! いつもはどもりの三枚目などをマキノにフラレることの多い、超身内・津川雅彦が、箱屋(いわば、芸者のマネージャー)ながら、きりりとした二枚目。このふたりの、超絶安定感こそ、マキノのしるし。
 いつもおなじみ、マキノ調と、マキノならざる部分が、混在する。
 大映最後の大作映画の輝きと、下降するマキノ演出の、時代的クロスが、交差する。
 ただし、江波杏子のヒロイン、佐藤允のヒーロー、なんか、ずっこけるんだよなー。ビミョーであるがゆえに、マキノ的快の、よって来るところが、ひしひしわかる。
 
 しかし、人間、年をへると、顔は大幅に変わるが、声は、あまり、変わらない。なのに、平泉征、この当時の低い声が、近年物まねされる平泉の声、おもいきし違うじゃない。

★新・今、そこにある映画★あらたに開設しました。
★映画流れ者★当ブログへの感想・質問・指導・いちゃ問はこちらへ

人気ブログランキング・日本映画
↑↓クリックしていただければ、ランクが上がります(笑)。
にほんブログ村 映画ブログ 名作・なつかし映画へ
にほんブログ村

by mukashinoeiga | 2012-02-24 23:25 | マキノ残侠伝 雅弘仁義 | Comments(0)

名前
URL
削除用パスワード