井田探「拳銃野郎」
阿佐ヶ谷にて。「世紀の大怪優 FANTASTIC伊藤雄之助」特集。65年、日活。
同じ日に、高橋英樹と伊藤雄之助が、ムショから出所する。行き場のない二人が、いわば成り行きで、行動を共にする。とりあえず、金もないので、チンピラたちを、やっつけて、カツ上げするしかない。
というわけで、快調に転がっていけば、それなりに面白い映画になるのだろうが。
残念ながら、そういうわけには、いかなかった。
なんていうか、日活アクションのクールさと、松竹人情喜劇の(ここでは)生温かさが、まるで水と油のように交じり合わず、どっちつかず。
さらに、時々挿入される、若い工員男女の昼休みの、横浜だろうか、工場近くの、浜辺での会話。メインの話とまったくかかわりを持たないような、この時々の挿入シーンは、まるでヌーヴェルヴァーグの、ノリ。
このふたりも、最後には、本筋の話と合流するのだが、かっとんだ映画では<異化効果>といえるものが、この生ぬるい娯楽映画では<イカタコ効果>とでもいおうか、残念な結果に。
脚本に斎藤耕一(+中野顕彰)、日活スチールマンから、松竹に移って監督多数の斎藤が、この日活+松竹味の珍味を、主導したのか。松竹で監督した斎藤映画には、あんまり人情喜劇味は、感じないのだが。
悪役・滝沢修が、当時のトルコ風呂の、スチーム・ボックス(と、いうのか?)というのに入っている、絵姿も珍。
なお、高橋英樹の別の日活仁侠映画(タイトル失念)でも、似合わない悪役、まったく迫力のないやくざのボスを演じた、名古屋章が、本作でも、やくざ組織の幹部クラスの殺し屋役。ひとかけらの迫力もない殺し屋を、例の人情オヤジ味120パーで、演じている。何、考えてるのだ、日活および名古屋章は。
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by mukashinoeiga | 2011-10-30 22:32 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)