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中島貞夫「極道社長」梅宮辰夫室田日出男川谷拓三山城新吾

 渋谷にて。「中島貞夫 狂犬の倫理」特集。75年、東映。
 うーむ、渋谷シネマヴェーラは、相変わらず、室温が高い。女性客もタオルを用意しているのは、ほかの名画座でもなかなか見られない光景。ぼくも、手動風送紙板を持参して、何とか、耐える(笑)。
 でも、映画が終わって、場内が明るくなり、感情が素に帰ると(あるいは休憩時間で、みんなが動き出すと)、一瞬、すえた匂いがしないか?(笑)
 おしゃれな渋谷がダサい浅草に通底する。盛り場の倫理か。
 若者の町・渋谷という土地柄か、おしゃれな番組構成のゆえか、ここは、ほかの名画座では見られない客層、若者も多いし、若い女性客も多い、さすがストレス・テスト実施中のシネマヴェーラは、若い観客にこそ、耐えられるのか。なぜか、映画が終わるたび、館内の様子を凝視する観客など、映画館に来慣れていない人も、目立つ。
 上映前アナウンスは、二回とも同じ感じで、録音に変えたのかな。天井のくだりは消えたが、大きな揺れの際は上映中止にするというアナウンスは相変わらず。ただ、追加されたのが、簡単に回復するフィルム切れは、しばらくお待ちくださいというアナウンスなしに、修理して再開しますよ、と。
 これがわざわざ追加されたのは、従来、簡単に復旧できるフィルム切れが、映写技師が観客へのアナウンスをすることにより、おくれがちになること再三で、必ずフィルム切れの時にはアナウンスしなければならない、というシネマヴェーラ・マニュアル(なんせ弁護士が経営する映画館だから、細かなマニュアルを遵守するような仕組みなんだろう)は、辞めました、ということか。シネマヴェーラのアナウンスは、毎度毎度不思議。
 アナウンスは、男声の早口声。とろとろは改善されたが、それが早口採用とは。
 シネマヴェーラで映画を見ると、なかなか作品の感想に行き着かないなあ(笑)。
中島貞夫「極道社長」梅宮辰夫室田日出男川谷拓三山城新吾_e0178641_0403458.png 主演は梅宮辰夫の極道社長だが、彼にスナックから裸で叩き出された、室田日出男&川谷拓三が、前半は実質主役。葬祭業、し尿汲み取り業を、次々立ち上げて、って、このキワキワの業態が、いかにもピラニア軍団。彼らの仕事が、ずいぶん無茶無理無体をやりつつ成功しかけると、とたんに梅宮が汚い手で、取り上げちゃうというお約束。
 権利だけ奪って、でも室田&川谷を幹部社員に取り立てて、ロウラク。でも、さらにその上をいく掠め取りヤクザが出てきて・・・・。
 東映の泥臭さ、ドジョウ臭さが、これでもかこれでもかと、満載。これに比べれば、野田新総理が、自らをドジョウの泥臭さにたとえるのも、おこがましい。泥臭いというのは、こういうことなんだよ。
 若い女優は、全員、脱ぐ。のだが、東映女優のヌードは、全然有り難味がないのは、いつもの通り。
 ホット&クールでありつつ(拓ボンに比べれは)室田の二の線、トコトン道化に徹する拓ボン。名コンビ。これに梅宮が加わると、なかなか面白い。もちろん最後は、梅宮が室田&川谷を利用するだけ利用して、大金を持ってスマートにドロンのお約束。逃げる梅宮の車を追いかける、室田&川谷の爆走でエンド。
 東映にしては?知的?なコンゲーム?(不動産詐欺)なのに?肝心の詐欺師役が<お笑い担当>山城新吾の、くすぐり程度だからなあ。

◎追記◎『極道社長(35mm)』公開:1975年(シネマヴェーラ渋谷HPより)
監督:中島貞夫
出演:梅宮辰夫、室田日出男、川谷拓三、橘麻紀、山城新伍、殿山泰司、成瀬正、鳥井敏彦、荒木雅子、川合伸旺、志賀勝、秋山勝俊、松本泰郎、女屋実和子、一の瀬玲奈、唐沢民賢、疋田泰盛、笑福亭鶴光、野口貴史、中島葵
零細金融会社社長の三井住友(梅宮)は、チンピラコンビが始めた葬儀屋と汲み取り屋をちゃっかり乗っ取って…。梅宮社長が室田&拓ボン&成瀬を搾取しまくる金融やくざ映画。梅宮に思いを寄せる役で橘麻紀も登場。「あいつ(梅宮)がいる限り、俺たちはずっと抜け出せないんだ!」という室田の叫びが心に刺さる。


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★今、そこにある映画★

by mukashinoeiga | 2011-09-07 01:04 | 旧作日本映画感想文 | Comments(3)

Commented by mukashinoeiga at 2018-03-13 01:14
中島貞夫「極道社長」へのセルフコメント
アッと驚く(笑)。これ昨日ヴェーラで見たのだが、全くの初見だと思っていた(笑)。記憶にない(笑)。なんというぼくの記憶力はぼんくらなのか。こういう下品な映画はあんまり好きじゃないので(笑)適当に退場して誘われた飲み会に行こうとしても、主人公たちがほぼ15分ごとに職替えするので、展開が読めず、最後まで付き合う始末。いやあショック(笑)。
 詐欺師梅宮の役名三井住友なんて、今なら絶対アウトだが、今も昔も海千山千の銀行屋も、映画屋さんはなあなあでごまかす勢いがあったんやねえ。 昔の映画
Commented by サセレシア at 2018-03-13 02:24 x
私のように「北の国から」より「前略〜」の方が好きなタイプには楽しめる映画なのでしょうか?

椅子は阿佐ヶ谷よりは座るのに抵抗ない状態かと・・・。

ただヴェーラは帰る客には何となく冷たい気がしますなぁ・・・スタッフは阿佐ヶ谷の圧倒的勝利かな。




Commented by mukashinoeiga at 2018-03-14 10:15
中島貞夫「極道社長」へのコメント、サセレシアさんども。
実は「北の国から」「前略〜」もどちらも見ていない非テレビっ子だったので。なぜか「六羽のかもめ」とかは全部見てましたけどね。なぜか主役連を差し置いて中条静雄がラストをかっさらうという。これも倉本聰なのに、再放送もヴィデオ化もDVD化もなし。
 ヴェーラは、最近も、案内放送が、男女とも、どんよりした根暗な声。明るくとは言いませんが、はきはきした声でこそエンタメ業界でしょう。
 カルト映画に特化した映画館だと、皆々どんよりした人たちが従業員にも集まるのでしょうか(笑)。 昔の映画
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