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堀川弘通「青い野獣」仲代達矢司葉子田崎潤千田是也淡路恵子西条康彦

 神保町にて。「華麗なるダメ男たち~色男、金と力はなかりけり~」特集。60年、東宝。
 なお、本作の感想駄文の前に。
 神保町で5/7(土)~20(金)特集の「可憐な娘たち 守ってあげたい芦川いづみ」特集は、ほとんどが、たいへん好ましい快作ばかり。最強アイドル女優・芦川いづみの魅力も全開。絶対のおすすめ。
 ぼくも未見「やくざの詩」「東京の人」「しあわせはどこに」を見たい。もちろん、既見作も、みんな、いい。何度見ても、必ず、楽しめる(のぞく「結婚相談」)。しかし、同時期、5/1~6/25に阿佐ヶ谷で「日活青春グラフィティ・泣いて、笑って、突っ走れ!」も、あり、こちらも、気になる。

 フィルムセンターで吉村特集「銀座の女」を見たあと、本来ならその次の大映版「自由学校」を見るのだが、フィルムセンターは震災後の自粛にビビって、3回目の上映を中止。時間が空いて、神保町へ行く。
堀川弘通「青い野獣」仲代達矢司葉子田崎潤千田是也淡路恵子西条康彦_e0178641_153769.jpg 「青い野獣」かなりの確率で見ているが、でも数パーセントの未見の可能性がある(笑)。その可能性に賭けて神保町へ。でも「青い野獣」既見作でした(笑)。始まってすぐ、ああ、これ、たぶん浅草東宝オールナイトあたりで、見たやつだなと。
 マイナーな婦人雑誌社に勤務する仲代は、組合副委員長として、会社側に大幅なベースアップを要求しつつ、ウラでは社長(田崎潤)の犬となり、組合切り崩しを画策する、野心的な裏通り青年。同時並行で、社長の黒幕実力者(千田是也)の一人娘(司葉子)をモノにして、玉の輿を狙う。
 クールなダーク・ヒーローを例によって、ハッタリかましたカラ演技で仲代熱演
 当時、話題だったらしい<個室キッチン>に、司を誘う仲代。この時代の映画で何回か見たことがあり、確か司葉子は別の映画でも、別の男に、この<個室キッチン>に、連れ込まれていたはず。
 要するに、<個室キッチン>とは、ベッドルームつきダイニング・キッチン。一通りの調理設備は整っており、仲代が肉料理など作り、家庭的魅力をアピール。作った料理は、即座に、ビールとともに、仲良くテーブルで食べ、いい雰囲気になったところで(まあ、そう思っているのは、仲代だけなんだけども)間仕切りをあけると、そこはベッドルーム。
 まっ、これが狙いなのね、と抵抗する司を無理やり犯す仲代。犯されたら、仲代の言いなりになる司、ってのも、古いやね。
 要するに、ダイニング・キッチン付きラヴホテルか。食と性の合体(レストラン+ラブホ)といっても、あまりに直截すぎるし、料理というオブラートが、あまりにロコツすぎて、オブラートの役割を果たしていない。企画倒れで、長続きしなかった「風俗」のひとつなんだろう(たしか、キッチン・バーという看板が)。
 仲代が、ふとバーで出会ったマダムが、淡路恵子。かつて、大学での学生運動の同志、久々の運命的再開。淡路恵子がかつて女子大生であった、という意外なキャスティングだが、その意外さが、かえってリアル。司のお嬢様ぶりと、対比される、疲れた淪落の、ふつうの、リアルな女という、ナイスなキャスティングだ。
 ナイスなキャスティングといえば、仲代の後輩大学生に、西条康彦、というのがナイス。先輩・仲代の、時代がかった、事大的な野心、その結果の失墜を、「欲張りすぎだよね、バカだなあ」と嘲笑する現代的なクールさ。威勢のいい仲代に調子よくおべんちゃらで、就職の世話を頼み、いざ仲代がつぶれると、ニヤニヤ笑いで「先輩、やり過ぎでしょ」と、あざ笑う。ああ、50年前から、こういう手合いは、常に現代的なのだ。ナイス。

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by mukashinoeiga | 2011-05-05 21:47 | 旧作日本映画感想文 | Comments(2)

Commented by サセレシア at 2017-03-23 02:19 x
仲代さんもあの声の出し方じゃいつも似たような演技になっちゃいますよね。
塾を始めるくらい演技には厳しい考えなのでしょうから思い切ってもっとバリエーションに富んだ役をやってほしかったです。
例えばオカマバーのホステスとかマザコンの和尚さんとかウンコ漏らして泣いちゃう役なんてどうでしょう。

案外全部いっしょですかね?
Commented by mukashinoeiga at 2017-03-23 19:51
堀川弘通「青い野獣」仲代達矢へのコメント、サセレシアさん、ども。

>例えばオカマバーのホステスとかマザコンの和尚さんとかウンコ漏らして泣いちゃう役なんてどうでしょう。
>案外全部いっしょですかね?

 全部一緒でしょう。演技も声も全部おんなじ。
 たまには無理してでも、多少は甲高い声でもチャレンジしてみろって、いつも思いますけどね(笑)。
 仲代、緒形、山崎努は、常に名優扱いされていますが、いつもおんなじ演技で、ヒーロー役者なら、それでもいいのでしょうが、ぼくにはいつも大味な演技に感じられます。
 緒形拳を除いては、これまた大味な黒沢の常連ですな。    昔の映画
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