「ディア・ハンター」VS山本薩夫

 産経新聞の週一連載に「昭和正論座」というのがある。過去の同紙に書かれた、評論の再掲載、いわば「評論の名画座」というべきものだ。名画座好きとしては、気になる企画なのだ。
 「新聞」なのに、昔の評論記事の再録とは、「旧聞」だろう、というなかれ。これが驚くべきことに、特に政治家、いわゆる文化人諸氏の発想、行動が、今も昔も、ほとんど変わっていないゆえ、<ダメな政治家、文化人>への批判が、今でも、まるっと通じてしまうから、あら不思議。昭和の評論が、今でもまったく、変わりなく、通じてしまうのだ。
 で、2/5掲載の早大客員教授・武藤光朗による、昭和54年4月6日掲載<「ディア・ハンター」映画とベトナムの真実>が、特に映画の話なので、このブログに以下、若干の引用を。

 ベトナム戦争に従軍した三人のアメリカ青年の悲劇を描いたアメリカ映画「ディア・ハンター」がさる三月十七日からロードショー公開されているが、日本映画復興会議実行委員会(山本薩夫議長)は十六日、同映画が「ベトナム戦争の真実をゆがめ、ベトナム人民への敵意をむき出しにした反動的な作品」だとして、その公開に対する抗議声明を発表したそうである(東京新聞、3月17日付夕刊による)。

 マイケル・チミノ監督はその制作意図をこう説明している。-「私はこのドラマでベトナム戦争を描こうとか、政治的メッセージを出そうなどとは毛頭考えなかった。ごく平凡に生きてきた若者たちが、降りかかった“戦争”という危機にどう対処したか、“戦争”がどのようにして彼らの人生の一部になってしまったかを、描きたかったのだ」。

 そんな作品に対して、山本薩夫氏のような日本の高名な映画監督を議長とするグループが、なぜその公開に抗議し、日本人観客にこれを見せまいとしたのだろうか。

 そういう北ベトナム・解放戦線側の戦争中の残虐行為を映画に描いたからといって、山本薩夫氏らのように、これを「ベトナム戦争の真実を歪める」と称して非難し、その作品を日本人観客の眼から隠してしまおうとするのは、かえって「ベトナム戦争の真実を歪める」ことになりはしないか。

 もっとも、さる二月末に西ベルリンで開かれた国際映画祭では、この「ディア・ハンター」は、国際映画祭規約中の「他民族への憎悪をあおりたてる映画の上映禁止」条項に該当するとして、“社会主義国”が上映撤回を申し入れたことがある、と前掲新聞記事は伝えている。山本氏らもそれと同じ国際政治的立場から公開に抗議したのかもしれない。しかし、アメリカ人のベトナム戦争体験を深く掘りさげて描こうとした「ディア・ハンター」のような映画の公開にまで、政治的圧力を加えようとするその立場が問題だといわなければならない。

 すでにベトナム人民軍参謀総長バン・チェン・ズン将軍の回顧録によって、いわゆる“南の解放”は“解放戦線”を傀儡(かいらい)とする北の武力による共産主義支配の強制だったことが証言された。ベトナム難民によってその苛酷な人権抑圧を告発されているこのベトナムの共産主義者は、人口の一割余を粛清したといわれるカンボジアの共産主義者と凄惨(せいさん)な内ゲバをくりひろげている。その内ゲバには、かつて日本の雑誌『世界』によった“進歩的知識人”のグループ「平和問題談話会」が、“平和勢力”であることを期待した、中国とソ連の共産主義者も加わっている。

 ベトナム現共産政権の血まみれの過去に触れたからといって、「ディア・ハンター」のような映画を「反動的」として政治的に封印してしまおうとするような日本人こそ、自分にとってベトナム戦争とは何だったかを、今改めて深く考えるべきである。(むとう みつろう)

 【視点】1979年のアカデミー賞受賞作品「ディア・ハンター」は、ベトナム戦争で米兵捕虜がロシアンルーレットを強いられるなど、民族解放戦線側の残虐行為をも描いた作品である。東側諸国に評判が悪く、日本でも、山本薩夫監督らのグループが「ベトナム戦争の真実を歪める」として、映画の公開に抗議した。
 武藤氏は、作品を日本人の眼から隠すことこそ、ベトナム戦争の真実を歪め、「ベトナム共産政権の血まみれの過去」にベールをかけようとしているとして、東側に同調した山本氏らの行動を強く批判した。自分たちに都合の悪い作品には、表現の自由を認めようとしない日本の文化人の欺瞞をついた正論である。(石)

 えー、山本薩夫は、映画としては、すごく面白い娯楽映画を作るのに、こと共産党員としては、画一的な言論弾圧をするわけですね。作品に対する批評と、公開に対する批判は、まったく別物なのですがねー。
 今のグルーポン民主党政権もまったくそうなんですが、世界中の歴代全ての左翼政権国家は、ひとつの例外もなく、言論弾圧、人権抑圧、民主主義否定の軍事独裁化、内ゲバで内部粛清、に邁進する。
 ついさっき亡くなった、連合赤軍の永田洋子たちもそうでした。チャウシェスクのルーマニア、スターリンのロシア、金王朝の北朝鮮、毛沢東創業の中共王朝、政権を弟に譲ったカストロ王朝、もちろんヴェトナムもそう。
 自称リベラルの方(左翼と正式に名乗るのが、恥ずかしいんでしょ)は、オレはリベラルだぜぇ、ひとより人権意識や、言論の自由、民主主義は大切にしてるぜー、という方が多いと思いますが、左翼・リベラルであればあるほど、実は左翼・リベラルな政権の誕生を期待したり、アシストしたり、投票したりすることが、間違いなんだと、気付いてほしいですねー。 
 なぜなら、あらゆる左翼リベラル政権は、言論弾圧、人権否定、民主主義否定、独裁化、軍事政権化、するんですから。一国の例外もなく。特に内ゲバ、路線の違いによる同胞グループの抹殺は、左翼のルールみたいなもの。小沢一郎一味が、菅直人一味に、今、そうされてますよね。友愛、友愛言いながら、民主党の友愛路線は対外国のものだけで、国内では、同士殲滅こそ、国内制圧の手段なんですね。

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by mukashinoeiga | 2011-02-06 20:16 | 山本薩夫傷だらけの左傾山河 | Trackback | Comments(0)

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