石井輝男「異常性愛記録 ハレンチ」

 ぐげげげげーっっ!!
e0178641_6173833.jpg 渋谷にて。「石井輝男・怒涛の30本勝負!!」特集。69年、東映。
 す゛げー、石井輝男ーっ。これ、この映画を100人が見たとして、まず、90人強は、ドン引きするだろ。
 いや、ヘンタイさんというのは、世の何パーセントを占めるのか、知らないので、なんとも言いようがないのだが、この映画を<心底楽しめる>パーセンテージというものは、かなり、限られると思う。
 この映画を心から楽しむためには、
1 中年小太りのおっさんのヌードに違和感を抱かないこと
2 中年小太りのおっさんの、鼻毛ぼうぼうの鼻の穴の超クローズアップ(シネスコ画面に鼻の穴だけ)に不快感を抱かないこと
3 中年小太りのおっさんが、自分のくちびるを自分の舌でぺろぺろなめまわす超クローズアップ(シネスコ画面にくちびるだけ)に不快感を抱かないこと
4 中年小太りのおっさんが、女装厚化粧して当時たぶん無名なのでかなりハードなカルーセル真希にSM攻めにされても不快感を抱かないこと
5 中年小太りのおっさんが、女をかなりしつこくストーカーしたり、おもちゃ扱いしても不快感を抱かないこと
6 どんなに悪趣味でも、ゲテモノでも、グロでも、とりあえずヘンなものには、すぐさま呼応すること 

 まあ、この条件がひとつでもないと、この映画は、きつい。
 いや、ぼくも、きつかった(笑)。何の接点も、ないもの。いや、正直、鈴木清順が日活首になって、石井輝男が東映首にならない理由がわからないっ。いや、わかるよ。とりあえず、エロとコメディー目指しました、でも、ちょっと、やりすぎかな、まあ、艶笑というくらいだから、多少ゲテでも、笑って許されるものかもしれない、つぎはもう少し、ふつーに撮れよ、という程度の。
 ヒロインの橘ますみは寺島しのぶを美人にしたような、薄幸顔。とことん、男に、ひどい目にあう。もう、このいじめはギャグだろうというくらい、いじめられる。でも、薄幸娘だから、とことん耐えるのね。
 で、このヒロインを徹底的にいたぶる中年男というのが、すごい。これ、世界のカルト・ゲテモノ・ホラー映画祭にぜひとも出して欲しい。ぼくは、世界映画史上、これほど気色悪いキャラクターを見たことがない(笑)。
 いや、女には、最初は低姿勢。「ぼく、さびしいんだヨ~ン」と迫り、いざとなったら、殴る殴る。女性にとっては、どんなホラー映画よりも怖いんでないんか。
 このおっさんが、<中高年男性向け精力剤のCMの男性モデル>の典型の顔といいますか、つまり田中康夫似なのね。もう、この映画見たら、あなた、死ぬまでこのおっさんの顔、忘れないよ。いや、最高のキモ試し映画かもしれない。 
 キモ試しといっても、どこまでいったらキモイのか、を試す、ということだからね。
この映画を見ずに、オレはホラー/グロ映画ファンだぜー、というヤツは、もぐり。 「徳川女刑罰史」「徳川いれずみ史 責め地獄」明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」辺りを見て、俺は石井輝男が好きだーっ、というやからには、ぜひ本作を見ていただきたい(笑)。
 このおっさんに、ドン引きしなかったら、あなたは、真のヘンタイさんだ。
 このおっさんに勝てる、カルト親父はいまい。若杉英二、あんたはエラいっ。
 なお、この気色悪い映画にもかかわらず、石井輝男映画の常で、やはり吉田輝雄が一服の清涼剤。どん底のヒロインの、唯一の希望となる男。石井輝雄が織り成す<汚れた街>を、ただ一人歩いていく<真のナイト>を、常に演じているし、この映画でも、また。石井輝男の映画の、唯一の、かそけき希望の輝きが、吉田輝雄なのだ。
 で、ぼくは個人的に大爆笑。
 吉田輝雄が、この映画たった一ヶ所だけ、角度の関係か、光線の関係か、髪型の関係か、シモケンさんと、瓜二つなのだ。いや、吉田輝雄とシモケンさんは、まったく、似ていない。普段は、吉田輝雄を見ても、シモケンさんを思い出すことはまったくないのに。
 シモケンさん、シモケンさん、といっても、昔からぼくらはそう呼んでいるけれど、一般には、まったく知られてはいないかもしれない。萩原健一ならショーケン、前田健ならマエケン、上原謙ならウエケン、下村健ならシモケンなのだが、いまシモケンさんは、石井輝男プロに所属していて、石井輝男関係の本でも、石井輝男にインタヴューしているのだが、そう、そのシモケンさんが、吉田輝男に、角度の関係か、瓜二つ、と知って、ああ、石井プロに入るくらいだから、石井輝男好みの顔なのだなあ(笑)と。
 まったく接点がなさそうな、吉田輝雄とシモケンさんが、ここで石井輝男的オトコの趣味を通じて、合体する、この不思議。
 とにかく、カルト映画好きを自称していながら、本作を見ていないのはもぐりよ。
なお、本作のゲイボーイたちのシーンでは、そのまま映すのはアレか、と思ったのか、が、延々と続き、ぼくたちは、かなりハードな点滅画面を見続けなければならない。
 ポケモン程度ですら、点滅画面にダメージを受ける人には、もう拷問状態かもしれない、キッツイストロボの連続。たとえヘンタイさん描写をクリアしても(笑)、この殺人ストロボでは、DVD化は、永遠に無理でしょうね。
 でも、まてよ。
 ぼくが見た渋谷では、みんなドン引きしていたけれど、これ、友達呼んで見せたら、ホームパーティーで見せたら、大爆笑でしょう。
 あ、DVDは、無理か。なら。
 かつて自由が丘武蔵野館、大井武蔵野館で、「幻の湖」をカルト化したように見せれば、これまた大爆笑でしょう。
 いや、「幻の湖」は爆笑苦笑だけだったけれど、本作なら、必ずや、大爆笑と阿鼻叫喚の嵐なのでは。いやいや、やりようによっては、これは、名画座の話題になること必須かも。
 とりあえず、エッジの利いた半有名人にあおらせて、新文芸坐のオールナイトあたりで、どうですか。
いや、絶対、これは、第二の「幻の湖」「恐怖奇形人間」ですぜ、ダンナ。

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by mukashinoeiga | 2010-08-31 22:11 | テリー石井 恐怖奇形番外地帯 | Trackback | Comments(2)

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Commented by J・T at 2013-05-15 17:53 x
若杉英二は新東宝の二枚目でした。東映にもいたのかな?
子供の頃、彼が明智小五郎をやった少年探偵団を見たことがあります。明智って少年好きだから、変態若杉にはぴったりだったのかも。
Commented by mukashinoeiga at 2013-05-16 00:14
J・Tさん、ども。
 新東宝時代の若杉(天城竜太郎)は、余り見ていないので、なんともいえないのですが、いかにも古典的な二枚目という感じでしょうか。ここら辺、詳しい方が居ましたら?
 J・Tさんも、よくごらんになったのですね。
 東映では、同じ新東宝だった石井輝男監督のものが、多かったので、石井監督の「引き」なのでしょう。
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