人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大曽根辰保「歌う弥次喜多 黄金道中」高田浩吉伴淳高峰三枝子シリア・ポール広沢虎造こまどり姉妹

 阿佐ヶ谷にて。「旅する映画 映画の旅」特集。57年、松竹京都。
大曽根辰保「歌う弥次喜多 黄金道中」高田浩吉伴淳高峰三枝子シリア・ポール広沢虎造こまどり姉妹_e0178641_21194515.png ごぞんじ弥次さん喜多さんの、東海道道中すごろく。弥次さん喜多さんには、高田浩吉、伴淳。浩吉うたう歌う。
 伴淳はコメディ担当かと思いきや、一曲、意外な美声?を披露。
 この、ご存知コンビが旅をすりゃ、宿場ごとに、当時の人気歌手、人気コメディアンが、入れ替わり立ち代りで、曲や芸を繰り広げる。そう、もはや、これはドラマなんてものではなく、自由極まりないヴァラエティー・ショーの演芸大会。
 しかも弥次喜多、関西にも足を伸ばすので、関西芸人、吉本芸人を、なんのためらいもなく使い倒せる。撮影が、松竹京都なので、芸人も東京より大阪のが、呼びやすいのは、どうりで。かくて、滅茶食っちゃ、豪華な、芸人・歌手の登場ぶり。
 そのぶん、映画としては、いま見ると、まことに、つまらない。つまり、芸と曲の、お団子串刺し状態で、何の芯も通ってないし、構成もないも同然、凡庸な大曽根演出は、工夫も何もあったモンじゃなく、退屈の一語。
 曲も今に残るヒットもなさそうだし、当代の人気芸人たちも、いつものルーティンを機械的に繰り出すのみ。情熱も、工夫もない、場末の顔見世演芸館のレヴェル。
 だいいち、高田浩吉という、ヨンさまと同じで、ファン以外には何の感興も起こさない、田舎の二枚目で。
 唯一、受けたのが、弥次喜多が舟の中、たぶん駿河の海か、伴淳が浪曲清水の次郎長を一くさり。しかし伴淳は明らかに口パクで、声は広沢虎造だ。
 歌い終わり、伴淳は、今人気の浪曲師の名前を次々挙げていく。そこへ、町人姿の広沢虎造本人が、「一人、忘れてやいませんかってんだ」と、割り込む。なかなか、虎造の名前も出さない伴淳も、ああ、次郎長といえば、虎造だ、と思い出す。「兄さん、江戸っ子だってねぇ」「神田の生まれよ」「すし、食いねえ。・・・・なに、すし、ねぇ?」
 こまどり姉妹が、それぞれの本名でクレジットされるのは、まだこまどり姉妹としてデヴュー前ということかな。同じメイク、同じ衣装で、登場するので、弥次喜多には、どっちがどっちだか、わからない。観客にも、わからない。
大曽根辰保「歌う弥次喜多 黄金道中」高田浩吉伴淳高峰三枝子シリア・ポール広沢虎造こまどり姉妹_e0178641_21211780.png クレジットといえば、
<おきん シリア・ポール>
 には、びっくり。高峰三枝子(信じられないくらいの美しさ、ヒロイン女優の面目躍如)の、十歳くらいの娘おきん、目鼻立ち区っきりで、色浅黒い美少女、どう見てもインド系の顔立ちだが、日本語は完璧。涼しい優等生歌唱で「とおりゃんせ」を歌う。
 ネットで調べてみると、大阪育ちのインド人、子役として、松竹、日活でそれぞれ数本出演。まあ、たいした映画ではないのは、不運なところ。60-70年代に、TVタレント、ラジオDJで、結構人気があったようだ。ぼくの知らない、最初の「オールナイトフジ」(女子大生番組ではない)とか、「世界歌謡祭」の第3・4回司会者。たぶん、英語で、出演歌手をコールするような役回り?
 週刊プレイボーイでの、細いからだに、ばばんと美乳な、ヌード・グラビアも、ネットで拝める。けっこう人気があったようだ。まあ、あの美貌ならね。
 そして、かの大滝詠一「夢で逢えたら」、数限りない歌手がカヴァーしているこの名曲は、もともとアン・ルイスのために書かれた曲だが、お蔵入り。名曲伝説の始まりは、最初にこの曲をレコードで出した、シリア・ポールからのようだ。このシリア・ポール歌唱も、ネットで聞ける。やはり、涼しい声だ。
◎追記◎


★シリア・ポール グラビア★

by mukashinoeiga | 2010-08-24 22:10 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

名前
URL
削除用パスワード