今井正「山びこ学校」

 神保町にて。「夏休み特別企画・昭和の子供たち」特集。52年・八木保太郎プロダクション第一回作品。
 う~ん、なんか、すごい映画を見ているなあ、と、見ている最中から、思った。
 これは、なんなんだ、と。
 すごい、異常な、映画なんだよ、これ。
 無着成恭という、山形の中学校教師が、生徒の作文集を世に問い、評判に。その独特のなまりを生かして、TV・ラジオタレントになった。TBS「子供電話相談室」などで、ぼくも聞きました。
 その無着先生をモデルにした、教師(木村功)が、自分も貧しい、生徒の家庭も貧しい、売られていく生徒もいる、そういう、ぎりぎりのところで、悩み、教育以前のところで、立ち止まらざるを得ない、場面が描かれる。
 現代でも、親による虐待、貧困による教育不全、など、まったく変わらない、悩ましい問題なのだ。
 教育資料の本を買い集め、その支払いがかなりの額になり、本来は家に入れなければならない金が、消えていく。
 教師自身も、両親に、責められる。
 悩む、木村功。
 貧しい自分や生徒、満足に教育する以前の生活環境に、逡巡して、悩む・・・・ 
 のでは、あるのだが。
 木村功の台詞回し、というか、演技が、明らかに、狂っている。
 木村功は、明らかに、せりふ量が多いせいだろう、通常の1.1~2倍の早回し気味の速度で、何のよどみもなく、すらすらすらと、せりふを<消化>していく。
 朴訥な田舎の青年教師が、悩み、逡巡するときすら、早回しのためらいなき台詞回しを維持する。
 生徒に講義するとき、生徒と私語するとき、両親と話すとき、同僚教師と語り合うとき、全て一定のスピードの、何の感情も、こもらない語り口。そう、速度が速すぎ、滑らかな語り口であるため、悩むときも、そのせりふに、一切の感情が、こもっていないのだ!
 あきらかに、おかしい。おかしいぞ、木村功。
 朴訥な、強いなまりの無着を、モデルにして、このマシーナリー(笑)なしゃべり方は、なんだ、と。
 狂信性すら、感じられる。
 共産党映画作家である、今井正からすれば、左翼教師は、かく機械的に、生徒を教育すべし、ということなのか。
 この木村功こそ、日教組教師の理想像、ということなのか。
 いずれにしろ、当時としては、この教育映画に、一定の評価があったことは、想像できる。
●追記●脚本家イコールプロデューサー、ということで、脚本の変更は出来にくいものと、一般論として、思う。しかし、独立プロの常として、予算は少ない。ということで、脚本の膨大な台詞・エピソードを、低予算で乗り切るには、という苦肉の作かも知れない。木村功のひとり早回し、は
 しかし、いずれにせよ、ロボットまがいの機械的な木村功演技は、ただ、ただ、不思議で。
 ロボット教師、これこそ、共産党や日教組の是とするところか。うーん、あの方たちは、よくわからん(笑)。そして、この映画が、左翼の皆さんたちに、一定の評価があることも。


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by mukashinoeiga | 2010-08-10 07:57 | 今井正 青い左傾山脈 | Trackback | Comments(0)

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