神代辰巳「離婚しない女」倍賞千恵子・美津子ショーケン萩原健一夏八木勲伊武雅刀神保美喜芹明香室井滋近藤芳正秋元康
池袋にて。「没後15年 映画ファンに愛されつづける 鬼才・神代辰巳」特集。86年・松竹。
成金船主・夏八木勲の後妻、釧路の女、倍賞千恵子。
堅実サラリーマン・伊武雅刀の妻、根室の女・倍賞美津子。
えーと、ぼくはテッチャンではないので、根室線なのか釧路線なのかはわかりませんが、この地方線の始発と終着駅に、位置する女たち。ふたりの女と、ショーケンは、この地方線を行き来して、肌を重ねる。二都物語。
このふたりを、それぞれの機会を利用して、ものにするショーケン。って、発想が、まず、えぐいよね。
ふたりの女は、まったく接点がない役の設定。なのだが、映画を見ているこっちは、二人が実の姉妹だと、知っている。ショーケン、姉妹丼。二人姉妹とするときにゃ、姉から、せにゃならぬ。
ということで、まず、千恵子と合体。次に美津子。うーん、ドラマ設定としては、一応、別人どおしなのに、なに、この気持ち悪さは。いや、実の姉妹が姉妹役として、一人の男を挟む、というのは、まあ、わかるのだが。姉妹なのに、姉妹じゃない役、というのが、気持ち悪い。って、ぼくの偏見か(笑)。
伊武はまじめなサラリーマン、しかしその七三にくっきりくっきり分けた髪が、かっちりしすぎているぞ(笑)。
夏八木は、こんな複雑なキャラを演じきるには、明らかに、体育会系ワンパタで、ニュアンスがなさ過ぎ(笑)。例によって、ガハハハ、とゴーカイに笑っているだけで、全然綾がない。曲がない。これじゃ、だめだろ。
夏八木の娘・神保美喜は、何とか父の後妻を追い出したい、嫉妬に狂いつつ、キャラとしては実に地味な扱いしかされない。神代映画では、年頃の娘より、その母のほうがクローズ・アップされるのは、いつもの通り。
ショーケンとのベッド・シーンでは、意外や、千恵子のほうは、乳首も乳もさらすが(倍賞千恵子唯一のヌードかな)、美津子はブラに守らせ。意外にも、この姉妹のイメージとは真逆に、実は千恵子のほうが、美津子より、その方面は発展型だったりして。
では、あるのだが、セクシー・イメージのない千恵子のベッド・シーンは、見ていて、痛々しい。色気、まるで、ないんだもの。倍賞千恵子の乳を見ても、全然お得感がないのよ(泣)。暗い。暗すぎる。千恵子の乳。
貧しさの中に、輝くのが、神代映画。その象徴が、貧乳・芹明香の輝き。しかし、倍賞千恵子の乳は、芹明香以上に大きいのだが、輝かない。倍賞千恵子の乳には、人を感動させるバック・グラウンドが、ないのだ。
その芹明香は、重ね重ねの覚醒剤逮捕の後、本作にちらりと後姿を見せる。しかしあまりにチラッと、過ぎて、最後のクレジットを見ないと、わからないほど。これ以後、芹明香はスクリーンから、消えていく。
本作も、日活ロマンポルノで、芹明香と宮下順子で、見てみたかった。で、あるならば、傑作になったであろう。
「恋文」同様、つまらないメロドラマ風の、うるさいBGMが、感興を、そぐ。ショーケンの、つぶやきめいた歌だけが、救いで。
かっきりしたメロドラマを求められる松竹が、(当時の、だめだめな)東宝よりも、神代の体質に合わなかったのが、見ていて、はっきり、わかる。
くっきり・はっきりのメロは、やはり、神代の体質では、ないのだった。
なお、美津子の根室のライヴハウスでやる、小劇場風演劇の出演者に、まだアイドル?女優風の室井滋と、近藤芳正。このつまんねー小芝居の、作者クレジットが秋元康。まあ、芝居作者としては、大成しなかったのがわかる不出来さ。
★Movie Walker★に、タイトル検索で詳細な作品情報あり。簡単な作品解説、あらすじ紹介(企画書レヴェルの初期情報の孫引きゆえ、しばしば実際とは違うが)。
★新・今、そこにある映画★日本映画・外国映画の、新作感想兄弟ブログ。なお、現在は当ブログに吸収合併。過去ログは残してあります。
★映画流れ者★当ブログへのメモ帳、その他諸々
★人気ブログランキング・日本映画★
★にほんブログ村・名作なつかし映画★
★にほんブログ村日本映画(邦画)★
by mukashinoeiga | 2010-06-28 22:21 | 神代辰巳猥歌 揺れた俗情 | Comments(0)