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大島渚「無理心中 日本の夏」桜井啓子田村正和佐藤慶小松方正戸浦六宏殿山泰司観世栄夫

 京橋にて。「映画監督 大島渚」特集。67年、創造社=松竹。
 ある種の映画的才能を欠いた者が、頭でお勉強して、ボクだって出来るもん、と作った<不条理前衛映画>。渚、さるまね。
大島渚「無理心中 日本の夏」桜井啓子田村正和佐藤慶小松方正戸浦六宏殿山泰司観世栄夫_e0178641_20124569.png 多分、どんどん先鋭化していったゴダールや、その他ヌーヴェルヴァーグに追いつきたい一心だとは思うが。もう、旧態依然の娯楽映画には戻れないもんね、じゃあとことん先鋭化しよう、しかし身についた娯楽映画のさびはそうそう落とせるものではなく、ましてや古巣の松竹配給となれば、ちゃんと娯楽も意識しろよ、という釘の一本や二本は打たれていると思しい。前衛でありつつ、後衛にも配慮、な~に、ちょろいちょろい、と思ったか大島渚。
 それでも、天然が入っていれば、まだ苦笑くらいは出来るものを(本当に本当に卑近な例:M・ナイト・シャラマン)、ガチガチのガリ勉野郎の大島なものだから、笑いの入る余地もない。ココ、笑うとこだよね、というとこで、ことごとく笑いのツボを外す。さあ、笑おう、というところで、急変化のしかめっ面、という大島渚本人のキャラそのままで。
 娯楽のツボは、まずセックス要素だ、とばかり<新宿のスナックを徘徊する「フーテン族」の桜井啓子をヒロインに抜擢>(フィルムセンターのチラシ)、巨乳ちゃんのバストをちらちらさせれば、お客も喜ぶだろうと、いまどきならAV女優になりそうな、何だ単なるおでぶちゃんか、でもよく見れば可愛かったりして、演技もまあまあ、というところをキャスティングするセンスも(やや)抜群で。
 佐藤慶、小松方正、戸浦六宏、そして殿山泰司、この当時なぜか前衛風映画にやたらと顔を出す観世栄夫、などいつもの大島組常連親父たちに、例によって<大真面目なちゃらいキャラ>を演じさせる。でも、娯楽的配慮としては、むさい親父だけでは、どうも、ということで、今回の<「御法度」の松田龍平>には、田村正和。この田村が意外と、いい。当時松竹では<弱弱しくも、軽薄な好青年>という役柄ばかりだった彼が、珍しく小悪魔的美貌のちょい悪青年。悪魔的微笑が美しい。これが、本来の正しい(青少年期の)田村正和でしょう、と思わせるものがある。そして、どの映画でも、むさくるしい暑苦しいダメ親父専門役者の、殿山がみょーに凛々しい、肉感的なハードボイルド役の漢(おとこ)役。う~ん、大島、オトコへの執着は、さすが「戦メリ」「御法度」の監督だけはある。
 ただ、狙撃犯のアメリカ人青年は、ちょっと大島の好みじゃないだろ。そこまで用意が出来なかったのか。ここのパートのみ、M・ナイト・シャラマンやETを思わせる。が、笑いは、取れない。残念。

by mukashinoeiga | 2010-01-29 00:07 | 大島の渚に寄せる新波かな | Comments(3)

Commented by アシックス シューズ at 2013-07-22 17:11 x
今日は~^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします。
Commented by エアマックス 95 at 2013-07-22 17:11 x
お世話になります。とても良い記事ですね。
Commented by mukashinoeiga at 2013-07-22 20:48
アシックスといい、ナイキといい、それなりに一流ブランドなんだろうに、まったく関係ないブログに、無理やり宣伝して、恥ずかしくないのでしょうか。恥を知りなさい。って、自動投稿の恥知らずに、恥を知りなさいなんて、無駄なことでしたね。
 こんなことをしてるアシックスや、ナイキは、一切買いませんからね。
   
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