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弓削太郎「今夜は踊ろう」

 阿佐ヶ谷にて。「歌謡曲♪ 黄金時代1960's」特集。67年・大映東京。
弓削太郎「今夜は踊ろう」_e0178641_2372833.jpg 結果的に、この映画が、ぼくの今年のシネ納めになった。なんともしょぼんな映画で。
 銀座の隠れ家的バーのマスターが田宮二郎。これがなぜ隠れ家的バーかというと、漫才師獅子てんや・瀬戸わんやのご両人がすしを握るすし屋があって、その店内階段をすすっーと上がると、二階が洋風のバー。つまり、すし屋店内を経由しないと入れないバー。で、このマスター田宮が、銀座のホステスに大人気の、頼れる男。知り合いのバーのママが、パトロンに店の権利書を取り上げられてしまう。それを取り返してあげてよ、という、映画的にもまったくつまらないが、それに輪をかけて話自体もあまりにしょぼい。
 いかにも、大映プログラム・ピクチャア特有の、ゆるい大人の事情の、しょぼい経済案件で、一本でっち上げようという、まるで一時間モノの連続TVドラマの一編だが、これが面白いならともかく、まったく生彩を欠いている。田宮の男前も何割かは下がりがちに。
 このしょぼさにさらに輪をかけているのが、田宮の弟分格になる荒木一郎。しょぼい顔で、しょぼい歌を何曲も何曲も歌う。しかも、この歌が、まったくドラマに絡まない。この荒木の歌ゆえに、本特集にかけられているわけだが、とてもヒットしたとも思われない。第一、聞き覚えがちらともない。本当にヒットしたのか。それに聞きほれる梓英子も、かわいいんだけど、なんというか、華がないよなあ。しょぼんな若手コンビを、まるで寅さんのように温かく見守る田宮も、男前下がりまくり。
 どんよりとしたフンイキで映画館を出て、いつも阿佐ヶ谷に来るたびに気になっているパンダ珈琲店は当然、やはり寄らず。

by mukashinoeiga | 2009-12-31 22:10 | 旧作日本映画感想文 | Comments(0)

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